BNNアーカイブ クリムゾンドラゴン(Crimson Dragon) |
ワールドニュース [戻る] クリムゾンドラゴン(Crimson Dragon) 投稿日:2009年4月7日 今にいたる少し前……。 タールストレイター(Taerlstratar)はその繊細で優雅な前足の爪にはさんで掲げ持つ、光るオーブ(宝珠)を見つめる。その巨体にもかかわらず、彼の所作は素晴らしいものであり、12インチのオーブを優雅に運ぶことなど呼吸と同じようにたやすい。 彼は考える。「シャドーロードがそれを為す者たちであり、その故郷に戻る。我も同じく、かつて住まいし地、現在ブリタニアと呼ばれし地に戻るのだ。忌々しきモンデイン、不快で小さな人間ども。ふむ、全てを滅する時が来たな」 人間という存在の完全なる抹消と破壊を脳内で楽しんでいくうち、オーブに映る風景が変わっていく。シャドーロードの為した仕事の跡から、若いクリムゾンドラゴンたちへと。タールストレイターはオーブをじっと覗き込んだ。彼の猫のように大きな瞳孔が、まるで命じられたかのように流れるように動き、オーブの中にその焦点を合わせる。「若きものたちよ……彼奴らにも役割はある」 タールストレイターは、若きクリムゾンたちの血にいまだ残る血への渇望を知りすぎるほど知っており、若さゆえの経験と知識の不足からくる知恵と自己の抑制の欠落も承知している。だが間違いは犯してはならない。彼らは血のみ追い求める殺りく機械ではないのだ。若きクリムゾンたちですら、人間、ガーゴイル、または故郷に戻ったエルフよりは使い物になる。彼らは単にその生まれ持った権利を望んでいるだけなのだ。そう、より弱き種を統べるという。 血を引くものは増え、いま必要なのは新たな棲家だ。新たに征服し、新しい土地を得る。モンデインにより閉じ込められた、終わりのない虚無(Void)を出る時だ。タールストレイターはその長大な翼、人間の基準でいうと150フィートはあろうかという翼をまっすぐに拡げ、オーブをその台座に戻すと少し伸びをし、その足を揃えた。使命のために。 14:10 2017/10/07
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by horibaka
| 2017-10-03 14:09
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