| BNNアーカイブ 冒険者ジョーダンの目撃談 |
ワールドニュース [戻る] 冒険者ジョーダンの目撃談 投稿日:2006年9月2日 記録者:吟遊詩人のLyra 「それで、どうなったのですか?」 私は続きが聞きたくて急かした。 「ああ、お嬢さん、まさにその時にあれが起こったんだ。起こったんだよ!」 ジョーダンが応えた。彼はエールを一気に飲み干し、最後の言葉を発しながらマグカップをテーブルに叩きつけたので、周囲が急に静まりかえった。何ごとかと身を乗り出す者もいた。 「悲鳴を上げてたんだ、バンシーみたいに! 炎が目の前に迫ってきて、もうだめだと思った」 一瞬、彼は私たちをじっと見つめてから椅子にもたれた。 「まるで時間が止まったみたいだった。泣き声みたいな、ひどい音だった」 一息ついて、彼は言った。 「低くて……低くて、暗い音だった」 「その(音を聞いた)ときに、全員が吹き飛ばされたのですか?」 最初からずっと話を聞いていた隣の人が言った。 ジョーダンはいきなり立ち上がったので、私はちょっとびっくりした。 「は! 俺は違うさ!」 ジョーダンは彼の胸倉を自慢げに叩くと、私たちを見下ろした。 「だが、数名はそうだった。あのとき見た大爆発は忘れる事ができないさ」 ジョーダンは彼の手をテーブルに戻し少し、身を乗り出してじぃっと私たちを見た。 「数百個。数百個に違いない。その柱は、ガラスみたいに砕け散ったんだ! それを見たときに、拳大の塊が俺に向かって飛んできたんだ!」 突然彼が自分のチュニックをつかんだので、皆はハッと息を飲んだ。 「ここだ! その塊がちょうどここにぶつかったんだ。でも、痕が無いんだ!」 わけがわからないと言うように、全員が怒涛のごとく同じことを尋ねた。 「どうして?」 ジョーダンは立ったままもう一口マグから飲むと続けた。 「信じられないかもしれないが、本当の事を言うとだな……その石は、幽霊みたいに俺の体をすり抜けて行ったんだ! 俺の友達や俺たちのペットや壁、それに天井もだ!」 「でも、あんたはいくつか拾えたんだろう? 違うのかい?!」 何人かが大声で訊いた。 ジョーダンは座り、満面の笑みと共に固く手を握った。 「ああ、俺たちはたしかに地面に散らばったいくつかの“かけら”を拾ったよ。それが触れるぐらいに硬くなってからな」 「で……」 と、酒場の亭主が割り込んだ。 「どれくらいの破片がそこにあったんだい?」 「数ダースだと思うんだが……」 幾人かがゆっくり頷いて、自分の持っている“かけら”を見ようとしていることに私は気づいた。ジョーダンは満面の笑みを浮かべながら、群集に挑むように話かけた。 「もう一度言うが、そこで俺たちが見つけた“かけら”は、ほんの数ダースだったんだ。でもな、その柱は男の背以上はあったんだ!」 私の中に突如としてある疑問が浮かんだが、それを口にする前にジョーダンに言われてしまった。 「残りはどこに行ったんだ?」 ジョーダンは、不思議そうにそうつぶやいた。 19:26 2017/08/23
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by horibaka
| 2017-07-29 19:25
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