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BNNアーカイブ 不正疑惑!?代表にまつわる謎の影!!

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不正疑惑!?代表にまつわる謎の影!!

投稿日:2002年4月14日

Cheryl Brown
Mizuho
読者諸君はご存知のことだと思うが、先日動物園にイルカタイプのUMAが捕獲された。そのUMAは高度な知性を持っているようだったのだが、その入手経路について様々な噂が取沙汰されている。

事の経緯はこうだ。ある日突然動物園に入れられたイルカタイプUMA。しかしそれは公認調査員でいるRex氏、Keir氏、Gigi氏が捕らえたUMAではなく、代表のXenos氏が独自に入手したものなのだ。「tasukete...」などと言い餌を食べないUMAを見て、動物園にやってきた観光客らが激怒、Xenos氏に詰寄るという一幕もあったようだ。観光客の中の有志がついに調査員に連絡を取ることにしたのがその数日後。UMAは明らかに弱っており、死亡してしまうのは誰の目から見ても明らかだった。

調査員達も観光客らの熱意に動かされ、UMA救出を断行。観光客らの支援によりUMAは無事に海へと帰された。しかし・・・その途中で the animal broker なる男達が、UMA救出部隊を襲撃したのだ!彼らは非常に人を襲い慣れているようだったという。調査員と観光客の必死の反撃によって彼らは撃退されたが重傷を負った観光客もおり、あたりは惨憺たる有様だったそうだ。

この男達は一体何者なのか?ここで浮かんでくるのが「Xenos氏が単独でUMAを入手した」、そして「男達の職業は animal brokerだったらしい」ということだ。UMAが連れ出されたのを知ったXenos氏が追手を差し向けたと考えることはできないだろうか・・・?なお、一連の騒動でUMAを連れ出したRex氏は謹慎処分になっている。Xenos氏にまつわる黒い噂。BNN記者Cheryl Brownはその噂を追っていく。








5:30 2017/06/02

by horibaka | 2017-04-06 05:28 | その他 | Comments(0)
BNNアーカイブ 調査隊、遂に未確認生物を発見!

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調査隊、遂に未確認生物を発見!

投稿日:2002年3月9日

Cheryl Brown
Mizuho
未確認生物調査隊は昨日、発見した未確認生物をムーングロウ王立動物園に寄付した。現在までその存在が闇に閉ざされていた調査隊だが、我々BNNレポーターが彼らの密着取材に成功。その壮絶なまでの友情と勇気を見た!

読者諸君は次々と発見される新生物の情報の多くが、調査隊からもたらされていることをご存知だろうか?あまり知られていないが、かの有名なフェニックス発見も彼らの功績のひとつなのだ。凍てつく大地や燃えさかる火山すら彼らの勇気を脅かすことはできない。以下は今回発見された新生物(名前未定)に関するレポートである。

調査員Aさん「その生物は弱々しく歩いていた。おそらく彼らを襲う数多の敵により、その生命力は削られていったのだろう。鋭い嘴がある。その切っ先が血で染まっているように見えるのは決して気のせいではあるまい。おそらくあの嘴は鉄ですら切り裂くほどに鋭く、的確に敵の急所を貫くのだ。しかし俺は負けるわけにはいかない!」

調査員Bさん「茶色の羽。雄々しく天を突くその冠。わたしは初めて知った・・・。これほどまでに気高い生物が他にいるだろうか?身構えながらその生物に気づかれぬようにそっと捕獲装置を取り出す。気づかれたら彼は天高く飛び去ってしまうだろう」

調査員Cさん「あたしは見抜いたわ。あの子は本当は戦いなんか望んでいないのよ!あの瞳を見れば誰だって気づくわ。何故同じ生き物同士で争わなければいけないの?だからあたしはその時叫んだの。攻撃しないでって・・・」

彼らは互いにかばいあい、その身を盾にしてその生物と対峙した。永遠に続くかと思われた死闘だったが、遂にそれに終止符を打つ時が来た。彼らの捨て身の作戦が生物を追い詰め、捕獲に成功したのだ。「殺してはいけない」その信念を守るために多大な犠牲を払うことになったが、調査員は全員生還した!

ムーングロウ王立動物園園長は語る。「我が動物園に動物を入れるためには彼らのような勇気ある調査員が数多く必要だろう。どんな情報でも構わない。是非調査員のために情報を集めて欲しい。ブリタニアに住む人々よ、貴方達一人一人が誇り高き調査隊の一員、特別調査員に任命される時が来たのだ!」

さあ、貴方も今すぐに調査隊Yew本部へ行こう!そして我々の手で新たな生物発見の知らせを持ちかえるのだ!








5:32 2017/06/01

by horibaka | 2017-04-05 05:31 | その他 | Comments(0)
BNNアーカイブ 見張り番

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見張り番

投稿日:2002年1月26日


全シャード
『あなたは!』

ダーシャ(Dasha)は身を起こそうとしたが、刺すような痛みに手足が震えて動けなかった。彼女に覆いかかる影はゆっくりと近づいて来た。彼女は、バランスを保てるかどうかもあやしかったが、今一度身体を立て直そうともがいた。そして素早くもう一度ヒールの呪文をかけようと試みた。

呪文の影響でダーシャの頭の中は渦を巻き視界がぼやけたが、乱れる意識の中で、かすかな光が彼女の手の先から広がり身体全体を覆うのが見えた。その効果はわずかなものだったが、力の波動が手足に行き届くのを感じた。地面を押しやるようにして震える足でようやく立ち上がると、影の人物は手を伸ばせば届く距離まで近づいて来た。

『思い通りにはさせません…あなたは殆ど破壊してしまったのです…。』ダーシャは切れ切れの息でそう言うと膝を折った。『なりません…そうさせる訳には…。』彼女の視界は舞い踊る光の球で満たされ、身体の力が朝日の中の霧のように消え失せるのを感じた。彼女が最後に見たものはアドラナス(Adranath)の顔だった。彼の頬には涙の筋が光っていた。

『もう待つのは終わりじゃ。』彼はそういうとダーシャを子供のように抱き抱えた。彼の涙は勢いを増し、すすり泣きにと変わった。『お前は我等の元に帰って来たのじゃ。長いことかかったが、ついに帰って来たのじゃ!』

***

炎のきらめきが、ダーシャの閉じたまぶたの裏にオレンジ色の花を咲かせた。彼女は顔をしかめると、こめかみを押さえ、ゆっくりと目を開いた。小さなたき火の向こう側にはアドラナスが、優しく微笑みながら座っていた。彼女はすばやく起き上がると身をこわばらせた。

『あなたは何をしたのですか?ここはどこですか?』彼女は迫った。彼女の彼に対する永遠の尊敬の念は、彼が指揮して招いた混沌の様を目の当たりにした時から消えてしまっていた。戦で彼の呪文がイルシェナーの大地を揺るがせていく様は、彼女の悪夢として一生残るであろう。

『心配しておったぞ、娘よ。お前の体力が元に戻るまで何日もかかった。』アドラナスは彼女の問いが耳に入らないかのように言った。『これで我々は完璧に戻れた。すぐにも我々の為すべき事を為さねばならぬ。それはもう長い事待たされたからな。』彼は微笑んで彼女を見つめた。

ダーシャは彼の言葉を飲み込もうと、しばらく沈黙していた。このエターナル(eternal)は気が狂ってしまったのか、それとも彼女を操ろうとしているのか定かではなかった。『アドラナスよ、何をしたのかお教え下さい!あなたの狂気が私達に何をもたらしたと思うのです?ここはどこなのですか?』彼女は言いたい事が伝わったかどうか、彼の瞳を探ったが、その目は夢を見ているかのように虚ろだった。

『山じゃよ、ダーシャ。山の姿に気づかぬか?今となっては、そう様変わりしてはおらんじゃろう?』彼は立ち上がり、雄大な地形を見渡した。『今となっては…』

『このような場所は一度も見た事はございません。』ダーシャはゆっくりと言った。自分の言葉に自信が持てなかったのだ。この場所には、確かに見覚えはある。『この場所は…私の故郷を思い出させます。しかし、これは私達の世界の贋物か何かでしょう。安っぽい模造品です!』彼女も立ち上がり、アドラナスの前に立った。彼女が彼の肩を強く掴むと、お互いの視線がぶつかった。『ここで何が起こったのか教えて下さい!私達の故郷はどこに行ったのですか?一体どうやってジュカ(Juka)を…』

『ジュカ!』彼は目を見開き彼女の手を握った。『その時が来たのじゃ、ダーシャ。長い間見張っておったが、ついに再びその時が来たのじゃ。我々の均衡を回復する機会が新たに始まったのじゃ!』

『均衡ですか?』彼の言葉に、彼女の心はわずかに和らいだ。『たった数日前、あなたはすっかり復讐の虜になっていたというのに、今さら均衡に希望を見いだしたというのですか?』

『数日じゃと?』彼は困惑し、顔をしかめた。『何世紀も前の事じゃ…お前は知らん!娘よ…お前は知らぬはずだ…もう数え切れぬほど昔の事じゃ。あの大破壊は…座りなさい。いいから座るんじゃ。』彼は彼女の手を取り、たき火の向こう側へと導いた。『知っておくべき事がある。』

彼女はゆっくりと腰を降ろすと足を楽にした。師の態度に彼女は強い関心を覚えた。『知っておくべき事とは何ですか?』

『お前は行方がわからなくなっていたのじゃよ、ダーシャ。お前は時空間から消えていたのだ。お前とジュカの砦は、そっくりあっと言う間に消えてしまったのじゃ。歴史から引き剥がされてしまったのじゃよ。エクソダス(Exodus)の仕業じゃ!』

『しかし、私は砦からあなたの姿を見ました…あなたが呪文をかけると、全てが光に飲み込まれてしまったのです。』彼女の周囲に蒸散していた狂気の中からその出来事をそっくりたぐり寄せる為に彼女の記憶は張り詰めた。

エクソダス!魔術師め、姿を見せろ!

アドラナスの説明の異常さに彼女はぞっとする思いを抱き始めた。ここは故郷。時を経て山は丸みを帯び、地形も変化はしてきている。数日前魔法の炎と爆風が吹き荒れた場所には、見た事もない植物がはびこっている。でも…それはもっと前の事だったのであろうか?

『いったいどのくらいの間?』ダーシャは腕組みをした。身体の中に寒気が走るのを感じた。彼女の世界は、もはや失われてしまっていた。かつて彼女の仲間によって使われていた魔法は色褪せ姿を変えていた。彼女の呪文の力が弱くなっているのももっともな話だった。彼女の家は、今や望むべくもなく歴史に埋もれてしまっていた。『一体私はどれくらいの間行方知れずになっていたのですか?』

『何千年もの間じゃよ…とてつもなく…とてつもなく長い間じゃ。』彼は彼女を待っていた間の一瞬一瞬を思い出すかのように宙を見つめた。『とてつもなく長い間、わしは見張っておった…そしてついにその時が来たのじゃ。』

『あなたは…そんなに長い間待てる訳がありません!一体どうやって?!』

『エターナルの持って生まれた性質を忘れたのか?娘よ。』アドラナスは優しく微笑んだ。『わしはその見張り番(watcher)になったのだ。責任はわしにある。わしは…わしは自分のした事の償いをせねばならぬ…。彼の微笑みは不安な表情に変った。『あのような狂気…わしは全く愚か者よのう、ダーシャ。』

『お願いです…アドラナスよ…。』ダーシャは彼の肩を優しく抱いて優しい声で言った。『ミーア(Meer)はどこへ行ったのですか?私達の種族は自らが忘れられる事など許さないはずです。私が…さらわれた後、何が起ったのですか?』

『夢の到来じゃ。』涙が一粒彼の瞳からこぼれ出た。『私が引き起こしたあの大破壊…全ては失われてしまったのじゃ。ジュカ、砦、ミーア…わしらは自らの終わりを夢見て、しかしそこから疎外されてしまったのじゃ。その夢の中で私は…わしは皆を殺してしまった。全員、わしの病んだ復讐心のせいで死んでしまったのじゃ!』彼は気を取り直し、その大虐殺がすでにわずかな記憶に取って代わった事を思い出した。『その時じゃ、わし等が知ったのは。それはエクソダスのした事だと。ジュカは均衡を崩す為にさらわれて行った。お前も…さらわれて行ったのじゃ。』

ダーシャは、再びその老人にかける言葉を失ってしまった。何千年もの間、夢の中で二つの種族の虐殺を目撃し続ける事の苦痛は、罰としては充分ではないか。彼はエクソダスのもくろみによって、自らの罪により疎外されてしまったかの様だ。『しかし、ミーア…私達の種族はどうなってしまったのですか?アドラナスよ。私達二人がミーアの生き残りなのですか?』

『時は来たり!』彼はすっくと立ち上がり再び微笑んだ。『来い、来るのじゃ娘よ!お前は我等の元に帰って来た、そして今や覚醒の時はすぐそこまで来ているのじゃ。』

彼はダーシャの手を取り、彼女が身を起こすのを手伝うと、きびきびした足取りで歩き始めた。見知らぬ土地で彼女が従うべき者は他になく、行く手に何が待ち構えているのかわからぬまま、彼女は彼の後を追った。二人は沈黙したまま一時間近く歩き続け、ついに山のふもとに辿りついた。草むらの中に小さな空き地ができていた。以前彼女が命からがら逃げ出したジュカの砦の場所からさほど離れていない場所であった。

アドラナスが手で複雑な曲線を描くと、細かい光の塵が埃のように彼からこぼれ出した。彼が手をパンと叩くと光は地面に落ち、揃って渦を巻き、一つの明るい点を形作った。光は地表に沿って広がり、四角い石の壇を形作って消えた。丁寧に彫り出された石の頂上には、磨かれた木製の壇と光り輝くルーンの様な物が埋めこまれていた。

『来るのじゃ。』アドラナスがダーシャに手を差し伸べると、彼女は疑わしそうにその手を取った。二人が揃って木製の壇の上に登るとその姿は消えた。彼等が再び姿を現した時、ダーシャは自分達が地下室の様な所にいるのがわかった。巨大な部屋の端から端まで、墓が整然と並んでいた。松明の灯がそこかしこに点々と燃えている。この場所を作ったのがミーアである事は確かだったが、彼女は一度もここへ来た事はなかった。

『この場所は何なのですか?死人の墓ではないですね、アドラナス。』

『違う。我々が従う道はこれしかなかったのじゃ。ここではミーア族が永遠の眠りに抱かれておるのじゃ。』彼は、蓋が閉じていない墓に向かって部屋の中を歩み続けた。『しかし、誰かが残らなければならなかった。ジュカを見張る誰かが。』彼は彼女の方に向き直った。『その役目はわしのものだったのだ。自分のしでかした事のせいで…私がかつてしでかした事と、まだ出来ていない事の為に…償いをせねばならなかったのじゃ。』

『あなたは…何千年もの間見張り、そして待っていたというのですか?!』彼女は、ついにその年老いたエターナルが狂気に蝕まれたのだと思った。何世紀もの間この地で隠遁生活を送ったせいで、いくらかネジが緩んで来ているのだと。エターナルは永遠に生き長らえる事ができるだろう。しかし、孤独な暮らしを続けていたらいかに不死身の魂とて広大な時の流れに苦しむであろう。『ミーアは住む場所を放棄したのだ。そうすれば我々は均衡への戦いが復活するまで待つ事が出来る。砦は帰還した。ジュカは戻って来たのだ。そしてお前、お前も戻って来た。』彼は、何世紀もの間彼を待ち続けていた幾百もの墓を囲む正円の中に入って行った。彼の任務は遂行された。『さぁ、目ざめよ我が民!起き上がり戦い続けるのじゃ!』

彼は杖を床に叩きつけると片手を高く挙げた。彼の指先から放たれた眩しく青い光が部屋の隅々まで輝きで満たした。ダーシャは少し目を蓋いながら、光が全ての表面を包んで消えて行く様を見届けた。最初は気づかない程であったが、ゆっくりゆっくりと何かが動く音が聞こえて来た。彼女の傍らで、一つの墓石がひび割れて口を開け液体が流れ出て来た。また別のエターナルが石棺から起き上がり彼女と視線が合った。

『ダーシャ!お前さんが我々の元に戻って来たという光景に、目覚めた途端に出会えるとは思いもせんかった!』ダーシャはただ、驚きの余り見つめるだけだった。何世紀もの間、種族の全員がここに眠っていた。再び均衡の為に身を捧げる事ができるように。皆、姿を消したのではなかったのだ。

『見張り番、良くやったぞ。』そのエターナルはアドラナスに言った。『お前の献身が我々全員を救ったのだ。恩に着るぞ。』

アドラナスはダーシャに向き直った。怯えた子供のような表情だった。『わしは…許されたのかの?ダーシャ。わしがしでかした事の全て、わしがしでかすかもしれなかった…起こった事の全て...わし一人が責めを負えば良いのじゃ。あの頃、わしはなんと言うせっかちな愚か者だったのだろう。このような新しい世界に来なくても良かったろうに。全てが終った今…わしは放免されたのじゃろうか?』

彼女は微笑み、優しく彼の手を取った。『以前あなたは教えてくれました。智慧は変化の必然性を受け入れる、と。』

一つまた一つと墓が開き、やがて種族全体が眠りから覚めた。








5:19 2017/05/31

by horibaka | 2017-04-04 05:17 | その他 | Comments(0)
BNNアーカイブ 力への転落

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力への転落

投稿日:2002年1月23日


全シャード
暗い広間で、ロード・ブラックソン(Lord Blackthorn)は一人で深い思索に耽りながら前へ後ろへと自らの体を揺り動かしていた。彼の胴を覆うクロークが床に沿って摩擦音を立てながら微かに引き摺られていた。それは彼が動く時に立てる唯一の音であった。やろうと思えば、彼はクロークが音を立てないように容易にもっと床の高い部分で移動する事は出来たのだが、その音は彼に奇妙な安らぎを与えるのであった。彼はまだ自らの足音を聞かないと言う事に慣れてはいなかった。彼にとってそのような事が惜しまれるのは理解しがたい事であった。

その広間には、彼がかつて職人に金を出し彫らせた彼のかつての容姿の大きな石の像が立っていた。彼は移動しつつそれを凝視した。彼は自身がその時より幾分かハンサムになったのではないかと考えていた。高貴な生まれと言うステータスは彼に多大な安心を与えた。彼は現在の姿に不満がある訳ではなかった。エクソダス(Exodus)によって与えられた新しい体が、その外観にもかかわらず彼を悩ませる事はなかった。しかし時折、コントローラー達が彼の顔を見た時、彼はその顔に嫌悪の念を見て取る事が出来た。彼らの凝視の中には、痛くないのかどうかを知りたいと言う僅かな好奇心があった。それはまるで彼らの目は視覚的な痛みの兆候を探る為に、ロード・ブラックソンの顔の肉と金属の間の線を目で追っているかのようであった。

他の者が彼を目にする事は殆どなかった。彼は変容を遂げて以来、公にブリタニアに出向いた事はまだない。文明化された土地では誰も今の外観の彼を受け入れないであろう。彼の本当に少しの部分しか人間として認識できるところはなかった。彼の人間時代の像は今では本当に似ても似付かない物になった。それは気取った彼の容姿を台無しにする事などない、別の人物を現わしているかのようであった。それはモンスターを前に恐れおののきながら、恐怖の中で彼を見つめているかの様であった。

彼の手が広間を横切り、その石像を撃ちつけたので、彼はその滑らかな冷たい石に沿って、痛みの内に彼の拳が裂けるのを感じた。彼の指は抗議するが如くズキズキと痛み、そして血が皮膚の裂けた彼の拳を微かに染めていた。その石像は、まるで彼に残存している脆さを嘲笑っているかの様に無傷であった。ブラックソンは、痛みを無視して、人間であった最後の時にへと思いを馳せていた。

***

彼はブリタニアの全景を眺めながら、彼の要塞の中に立っていた。王のかつての城は、彼に呼び掛けつつ、その偉大な都市の中心部より日に照らし出されていた。それは、彼がそこにいるべきだった城だった。

彼は既に魔導師ニスタル(Nystul)と会合を開いた。その年老いた愚人は全ては統制の下にあると主張した。彼はとりとめも無く彼の指導の下で王国が如何にして生き残るかについて、そして人々に警告する必要は無い事などを延々と話し続けた。彼は終始、人々が彼らの主君により見捨てられたと言う事で混乱するであろう事、更に新たな主君をいきなり擁立する事は問題を悪化させるだけであろう事を心配していた。王の僕であるデュプレ(Dupre)はフェルッカの王党派の派閥に命令を下したであろうし、その他全ての事柄も王への忠誠の下にある者達によって内々に取り扱われる事になったであろう。

ブラックソンは人々には支配が必要な事、王のいない王国は廃退しいずれ滅びる事、支配する事を要求するのは最高位の貴族の義務である事を議論した。彼は自分が支配する権利を有している事を知っていた。それにも関わらず彼は拒否されたのだ。ニスタルは平民の様に彼に説いた。王の不在の間、彼に如何なる権力を与える事よりも、王国の支配者が不在である事を望む愚者達の考えに彼は心底憤激した。無限の時を持つその男は何度となく人々に騒乱をもたらしながら、彼らを危機に晒していた。

彼が反応できるより前に、全身が光りに囲まれ、そしてゆっくりと彼の視界は暗闇に呑まれていった。思考は全て残されていたので、彼は誰かが彼を魔法により、彼の意思に反して連れて来たと言う事は分っていた。彼が再び思考を巡らす以前に、相当時間が経ったように思われた。突然、意識が彼に押し寄せ、彼は目を開けた。彼は周りを見渡すのに十分な明かりを放つ数本の蝋燭のみがある薄暗い部屋の中に立っていた。彼の前には、色黒の皮膚をして丈の長い深紅のローブを着た三人の人間らしき者が立っていた。彼らは静かに彼の前で跪いた。

『この様な誘拐で私を辱める者は誰だ?!私は何処に居るのだ?!』ブラックソンは怒鳴った。

『プライバシーを侵害してしまい申し訳ない、ロード・ブラックソン。』虫の羽音の様な不思議な声が一度に至る所からやって来るように思われた。一千の静かな時計が時を刻むかの様な音が絶え間無く部屋中に鳴り響いていた。そしてそれは不思議な声の主が奇妙な調和の中で話していくにつれて、その不思議な声と一体となってゆくように思われた。『大変重要な問題についてあなたと共に討論できる聴衆が欲しかったですな。貴方が危険の内に無い事は私が保証します。貴方がお望みならば、従者達に何か飲み物でも持って来させましょう。』ブラックソンは壁の一つに沿って暗がりから発光している光のパターンに気が付いた。それらはその声が話しをする時、まるで火が付くように光り輝いている様に思われた。

『私は闇に身を隠す者達と話をするつもりはない!姿を現すか、すぐに私をここから出せ!この違犯によりお前を殺す事になるぞ!』ブラックソンは叫びながら素早く振り向き部屋中を見渡した。彼は彼の前に跪いている三人の男を除いては、誰も見る事が出来なかった。

『私の本当の姿は至る所にあります、ロード・ブラックソン。私は貴方と同じような人間ではありません。私はエクソダスと呼ばれています。貴方にブリタニアを捧げる為にこの地にやって来たのです。』

ブラックソンは躊躇った。どういう訳かこの存在は彼の支配への欲望を知っていたのだ。『お前が持っている訳でもない物をどうやって私に捧げると言うのだ?人間でないとすれば、お前は何者なのだ?』

『私は激動より出で、時それ自身によって形成されたのです。私は結合体なのです。』何かが風を切るような音がしばらくして、そして次第に薄れていった。ブラックソンは宝石の様な光が以前より明るくなっている事に気が付いた。

『謎めいた事を言うな。』彼はその光に向かって一歩踏み出した。『正体を現せ、そうでなければ話は終わりだ!』

その光は目も眩むばかりの明るさとなり、激しく明滅し始めた。風を切るような音もエクソダスの声と混ざり合い、今まで以上に大きな物となった。『お気の召すままに。』ブラックソンの心は心象で張り裂けた。彼は手で頭を抱えて跪いた。彼はモンデイン(Mondain)城のイメージを見ていた。

父よ…母よ…時は彼らの王国であった。力と魔法は彼らの気まぐれから流れ出た。全ての力は宝玉からやって来た。その宝玉は貴重であった。私は貴重であった。愛されていた。私は後継者となるはずであった。私は力を手に入れるはずであった。その機械は…時の扉からやって来たその機械は…その機械は私に力を与えるであろう。悪魔。彼の力は私の物になるであろう。彼の力は強大である。その機械はこの事を実現するであろう。父の愛こそその機械。母の愛こそその悪魔。私は愛されている。私は力を手に入れるであろう。その宝玉は…その宝玉は脅威にさらされている!その宝玉は…とても貴重で…駄目だ!止めろ!!全ての力はその宝玉からやって来る。その宝玉は壊された…世界は破壊された…酷い破壊だ…とてつもない変動だ。世界は破壊された。母よ、なりません!父は死んだのです。母は死んだ。私も死んだ。

時は破壊された…城全体が消え去った…時代は変わらねばならない…時は破壊に道を譲らなくてはならない…時は流れなくてはならない。私は死んだ。私は砕かれた。私は破壊に道を譲らなくてはならない…私は変わらねばならない…私は機械だ…私は悪魔だ…私は結合体…私は再生…私は家に居ない…私は家を見つけなくてはならない…時は砕かれた…時代は間違っている…私は待たねば…待たねば…時はやって来る。家もやって来る。

部屋の遥か向こうにある光が急に暗くなり、突然ブラックソンは我に返った。彼は跪いていた冷たい広間の床から立ち上がりながら、息を切らしていた。頭から下ろした手は震えていた。彼の顔は身震いする様な驚きから凍り付いていた。『私…私は目にした…何千年もの時間を…ほんの僅かの間にだ。』

『私は貴方を待っていたのです、ブラックソン、』その声は淡々と続けた。『時は満ち、そして私は再び故郷を見つけたのです。貴方は私が長い間留守にしていたこの世界の貴重な知識をお持ちです。』

『ブリタニアを征服したいのか?』

『私は貴方がブリタニアの支配者として相応の地位に居て頂きたいのです。私にはそれを導く力があります。』

ブラックソンは躊躇した。『それであれば、私に支配を許す事でお前は何を得る物があるのだ?まさか、お前がただ単に贈物として私に玉座を渡したいと云う様な事を信じろと言うのではあるまいな?』

『私は本来の目的を果たそうと努めているのです。』光は薄暗く輝き、その声は低い音程となった。『その事は先程お見せしましたからご存知でしょう。私は絶対的な守護者として、すべてを見張り、すべてを知る為に、この世界を引き継ぐ事になっていました。この世界となり、この世界をコントロールする力を維持する為にです。その力を貴方に与える事ができます。貴方にそれを支配させる事ができます。』

ブラックソンはゆっくりと話した。『どうやって…どの様な力を与える事が出来ると言うのだ?』

再び光が明るく輝き、ブラックソンの心にあるイメージが浮かんできた。『私は貴方に新しい身体を与えましょう。そして指令を下す新しい軍隊。』彼はまるで一千の熟練した細工師が彼の体格に合わせて手足を作ったかの様に、彼の身体を変えられるのを見る事が出来た。彼はその体の中、そして血管を駆け巡るその力の中に自分自身が居るように感じる事が出来た。それは彼がそれまで経験した何にも当てはまらない物の様であった…とても信じ難いほどの力を思いのままに出来るのだ!彼の感覚はそれまで可能と思われていた以上に遥かに広がっていった。彼は無敵に感じられた。その感覚は次第に薄まり、そして彼は再び本来の彼に戻った。すぐに彼はもう一度あの力の感覚を感じたいと言う熱望を覚えた。それは彼を夢中にさせた。

エクソダスはしばらく待ってから静かに続きを話した。『ロード・ブラックソン、この力を受け入れますか?支配する事を欲しますか?』

『私は…ああ…分かった、受け入れよう。私は受け入れようではないか!』

『よく言って下さった。』その光は明滅し、そしてブラックソンは暖かいエネルギーの中に彼自身が包まれる様に感じたのであった。

***

彼の人間の頃を映した石像は賛同の意を表さない衛兵の様に彼をじっと見下ろしているかの様に思われた。彼は再び自分の手を見た。出血は僅かではあったが、それは今以て彼がかつて持っていた弱さを思い起こさせる物であった。重厚な爪を持ったもう一方の手が起き上がり、彼はそれを見つめた。おぞましい笑みが彼の顔中に広がった。次の瞬間、ブラックソンの強力な機械の従者が辺りを舞い、そしてその石像を数千の破片へと打ち砕いた。かつて石像が立っていた所で塵が渦を巻き、そして地に落ちた。

『他の者も私に加わるのだ。』彼は力の感覚を味わいながら吼える様に言った。

***

ダーシャは山道を登りながら、もう一度自分自身を落ち着かせようと苦心していた。数日前、彼女はジュカ要塞の不思議な場所に辿り着いた。今、彼女は酷く傷ついている。クロークを身に纏った者からのエネルギーの閃光と要塞の壁から落ちた事で、彼女はもうすぐで死ぬ処であった。今となっては彼女のヒールの魔法も、まるでここでは魔法が違っているかの様に、何らかの理由で失敗するのであった。彼女は本当に何とか貧弱な呪文で自らの命を守り、そしてジュカの警備兵が彼女を発見する前に逃げたのであった。

彼女はしばらくの短い間、十分な安全を確保する為に、山を登ろうと決心したのであった。彼女は誰も彼女を見つける事は出来ないだろうと思い、その間に体を休め、そしてその後、ヒールの呪文をかけるのに十分な体調を回復する事が出来た。岩を背に腰掛けながら、彼女は骨に走る痛みに怯んでいた。もし、再び呪文が失敗すれば、とても遠くへは行けないであろう。

彼女はその土地を見渡し、そして持ち物を手に取ろうとした。元居た地ではないのだが、ここでの物事は見知っているような気がした。彼女は朦朧としていて、それを理解するには十分な状態ではなかった。彼女の後ろで小石が落ち、彼女はそんな明白な敵の出現を察知できなかった自分を呪った。すばやく振り向くと、何者かが目の前に立っているのが見えた。

『あなたは!』








5:26 2017/05/30

by horibaka | 2017-04-03 05:25 | その他 | Comments(0)
BNNアーカイブ 変化

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変化

投稿日:2002年1月15日


全シャード
その爆発は要塞を揺るがし、ダーシャ(Dasha)を床へ叩きつけた。彼女の周りのジュカ(Juka)兵士も槍と鎧とをぶつける音を立てながらふらついた。彼女は自分の置かれている状況を捉え直し、部屋全体を一目見た。石の壁はひび割れていた。床が揺れ動いた。要塞は今にも崩壊しようとしていた。

師アドラナス(Adranath)の儀式が始まったのだ。ダーシャとケイバー(Kabur)が素早く行動をしない限り、ジュカとミーア(Meer)の滅亡は目の前にやって来ていた。

彼女は膝立ちになり怒鳴った。『エクソダス(Exodus)!正体を現わせ、魔術師よ!』彼女の指先から、暗く奥まった小室を照らし出す呪文が放たれたが、ジュカの謎めいた支配者はそこにはいなかった。彼は、幾何学的な配列の明滅するジェムストーンと銀のはめ込みをちりばめた奇妙な祭壇か台座か見当のつかない物を残して立ち去っていた。彼女は呟いた。『危機を前にしたお前の尊敬する主人は何処だ、ケイバーよ。』

そのウォーロードは怒りを込めて言った。『ジュカは魔術師の後ろに隠れたりはせぬ。我々は自分自身の手で以って戦うのだ!』そして、彼は出入り口を通りぬけるべく突撃した。ダーシャは彼の後を追った。彼らは強固な要塞の前部にある高い壁の頂上にやって来た。その眺望を得て、彼らは今朝の戦いの地震で荒廃させられた目の前に広がるジュカの都市を見渡した。無秩序な乱戦は通り中に血を浴びせた。

ダーシャは懸命に落ち着きを維持しようとしていたが、彼女の鋭い目は何かを探しながら辺り一帯にダートのような視線を飛ばしていた。アドラナスよ、なりません!彼女のハンターとしての目は、遥か下方に他の永遠なる者の輪の北の地点で巧みに手を操っているその長老を捕らえた。地獄の閃光がメイジ達の輪から前方へと輝き始めた。そしてダーシャはその要塞がいつでも復讐心で出来たもう一つの一撃に見まわれるであろう事を知っていた。突然彼女の感覚はまるで氷の張った水に沈められたかの様に鈍った。彼女の眼前に広がる谷は凍りついたかの様に思われ、静寂の夜の静けさは混沌を飲み込んでいった。遥か下方のアドラナスはまるで彼がぼやけた絵の中へ取り込まれたかの様に見えた。混沌とした大火の初期の段階の小さな火の柱が、装飾品の様に彼の指先から垂れ下がっていた。ケイバーと彼の立っている構造物のみが彼女の視界にははっきりと現れた。彼女の体はまるで鉛に包み込まれるかの様に動き、そしてただ頭を横に揺り動かしている事で特別な意識の集中をしていた。鈍い紫の明りの流れが彼女の足下の床の表面に沿って羊皮紙の上に落ちた涙の様に、ゆっくりと線を描き始めた。それらは紫の明りの中に要塞全体を包み込む様にして、より速く、全ての表面に巡らされていった。その流れはその奇妙なエネルギーを除いて何も見えなくなるまで、ダーシャとケイバーを包み込みながら彼らの元へと集まって行った。そのミーア女性は意識を失った。彼女の視界は目が眩むような光で一杯になった。

***

長老達の輪の頂点で、アドラナスは魔法を止め、恐怖で固まっていた。激しい火の波が呪文を打ち消し次第に消えていくと、彼は視界からジュカの要塞が完全に消えていくのを目の当たりにした。瓦礫も、灰も、生命が存在した形跡も何一つとして残ってはいなかった。ただ単に、その要塞は行ってしまった。それだけだった。

エクソダスとジュカは逃げ失せたのだ。しわを刻んだ顔に涙を流しながら、アドラナスは跪いた。

煙と火の中心では、ごく少数の残存したジュカ戦士とミーアとの戦闘が、谷中に苦悩に満ちた耳を劈くばかりの叫びが木霊したので、しばらくの間中断された。

***

ご先祖様、私達を見捨てないでください!私達はこの様な終焉を迎えたくはありません!

偉大な母により、お前達は我々全てを殺したというのか!

…火を…

…厚い煙が…

これがジュカが永遠という物に向き合うやり方なのか?

これがミーアが永遠という物に向き合うやり方なのか?

ジュカは歴史にその存在を刻んだのだ。

智慧は変化の必然性を重んじる。

***

漆黒の中から、彼女を混乱させつつ光りのしわがダーシャの視界に入り込んで来た。彼女の手足はまるで数日間走り続けたかの様に弱っている様に感じられた、そして頭も何かに打たれるかの様に痛んだ。不思議な風が彼女の周りに吹いた。彼女の鋭い感覚がかつて経験したことのない香りが部屋中に強く放たれていた。彼女は上方からの日光に瞬きしながら、何とかゆっくりと目を開けた。焦点が合ってくるにつれて、彼女は自分が同じ要塞の中にいるという事が分かった。しかし、その場所は何かが違っていた。

ダーシャがゆっくりと振り返ると、地面の上に微かに浮きながら、暗いクロークに身を纏いながら彼女の近くに立っている人の姿を見た。彼女が反応する事が出来る前に、そのクロークを身に纏った姿のひだの下から巨大な爪を持った手が飛び出して来て、地獄の爆風を放った。彼女は要塞の端を越えて後方へ吹き飛ばされ、落ちていった。

ケイバーは唸り声をあげ始め、立ち上がろうとした。彼が膝を曲げた姿勢になったとき、その白髪混じりの戦士は既に彼の武器に手が届いていた。『私をそれ程簡単に倒せるとは思って欲しくはないな…』彼はしばらくの間、懸命に直立の姿勢を保とうとした。『安心しろ、ケイバーよ。お前は救われたのだ。』ある声が彼の頭の中で単調に響いた。

『ロード・エクソダス?』ケイバーは震えながら立ち尽くし、彼の下に広がる谷中を見渡した。まるで要塞全体が別世界へ移動しているかのようであった。その構造物自身を除いては、何一つとして同じ物はなかった。

『ここは…ここは何処なのですか?』彼は再びそのクロークを身に纏った影を見極めようと振り返りながら尋ねた。

『お前はお前が良く知っている要塞の中に立っているのだ、ケイバーよ。ここはイルシェナーだ。』エクソダスの声が昆虫の羽音の様にケイバーの心の中に聞こえてきた。

『ここは私が見た事の無い場所です…私は炎や死を目撃し…ダーシャと私だけが生き残ったのです。今起こっているこれらの事は夢のように思われますが…そうではないのでしょうな。』ケイバーは眼前に広がる新しい光景を凝視する事しか出来なかった。

『ケイバーよ、運命はまだ未完成なのだ。時が次第に戻っていくのを感じたであろう。お前達の運命はここで、私の尽力により再び新たに始まるのだ。』

『貴方が…貴方が死からジュカを蘇らせたのですか?』ケイバーは武器を下ろした。

『私はお前の死を白紙に戻したのだ。私はお前達を過去から連れ戻す魔法の力を集める為に何世紀も費やしたのだぞ、ケイバーよ。ロード・ブラックソン(Lord Blackthorn)の助力を得て、私はミーアの狂気からお前達を救う為に私が必要な力の最後の部分を得る事が出来たのだ。お前は今新しいイルシェナーを見下ろしている。ジュカが挑むべき新たな敵もいるぞ。私は今までしていたように、お前を導いてやろう。』

『ロード・ブラックソン?』ケイバーはその見知らぬ者を凝視した。そのクロークを身に纏った影は、一部分は肉であり、ある一部分は鎧になっている顔を見せながらフードに手を回した。光り輝く宝石の様な目は、金属の継ぎ接ぎのグロテスクな容姿を目立たせながら微かに明滅していた。

『要塞の周辺の地を探索する事から始めよ。』ブラックソンは命令した。『武器を集め、出会うもの全てを抹殺せよ。』

ケイバーは突然彼に命令を与えたその存在が何者であるかいぶかしみながら静かに立っていた。彼の主人の声が再び彼の頭の中で木霊した。『彼に従うのだ、ケイバーよ。』

ゆっくりと彼はブラックソンから目を離し、塔の深部へと歩いて行った。彼はその場を離れる時、不思議な何者かの視線を受けていると感じた。彼はブラックソンの顔に浮かぶ冷笑を見る為に振り返りはしなかった。一人ずつ彼は兵士を集め、武器を分配し、要塞とその周辺の土地を調べる為の部隊を編成しにかかった。彼は武器の山に思いを巡らして立っていた。塔の頂上から彼は遠方に生命の存在を見つけていた。彼が人間だと推測した者達は湿地の近くで潜伏しているように思われ、他の方向にはガーゴイルと思われる者の存在を確信した。彼はその様な獲物を狩る為に彼がよく用いていた二本の弓と十分な量の矢を手に取った。

彼は兵士の一団と共に要塞の扉から外へと歩み出た。彼らはこの新しい世界に慣れようとしながら、しばらくの間その景観を眺めていた。ケイバーは彼らに振り返り、そして吠え立てた。『前進!武器を構えよ!』

彼が兵士達の部隊の先頭で大股で歩み出した時、彼は撃破の心構えを以って前方を見遣った。一つの思いが彼の心にあった。

ダーシャは生き延びた。








5:31 2017/05/29

by horibaka | 2017-04-02 05:30 | その他 | Comments(0)
BNNアーカイブ  業火

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業火

投稿日:2002年1月10日


全シャード
その爆発は要塞を揺るがし、ダーシャ(Dasha)を床へ叩きつけた。彼女の周りのジュカ(Juka)兵士も槍と鎧とをぶつける音を立てながらふらついた。彼女は自分の置かれている状況を捉え直し、部屋全体を一目見た。石の壁はひび割れていた。床が揺れ動いた。要塞は今にも崩壊しようとしていた。

師アドラナス(Adranath)の儀式が始まったのだ。ダーシャとケイバー(Kabur)が素早く行動をしない限り、ジュカとミーア(Meer)の滅亡は目の前にやって来ていた。

彼女は膝立ちになり怒鳴った。『エクソダス(Exodus)!魔術師め、姿を見せろ!』彼女の指先から、暗く奥まった小室を照らし出す呪文が放たれたが、ジュカの謎めいた支配者はそこにはいなかった。彼は、幾何学的な配列の明滅するジェムストーンと銀のはめ込みをちりばめた奇妙な祭壇か台座か見当のつかない物を残して立ち去っていた。彼女は呟いた。『危機を前にして、お前の尊敬する主人は何処なのだ、ケイバーよ。』

そのウォーロードは怒りを込めて言った。『ジュカは魔術師の後ろに隠れたりはせぬ。我々は自分自身の手で以って戦うのだ!』そして、彼は出入り口を通りぬけるべく突撃した。ダーシャは彼の後を追った。彼らは強固な要塞の前部にある高い壁の頂上にやって来た。その眺望を得て、彼らは今朝の戦いの地震で荒廃させられた目の前に広がるジュカの都市を見渡した。無秩序な乱戦は通り中に血を浴びせた。そして、新たな恐怖が谷全体を飲み込もうとしていた。幾組かのミーアの長老達が、まさに魔法詠唱の最中で激しく光り輝きながら要塞の周りにリングを形作っていた。その輪の北の地点は師アドラナス自身によって占められていた。彼の合図で、長老達から火の巨大な輪が波紋を形作る様に放たれ、光り輝く大火の中の都市を燃やし尽くしていった。彼女は顔に受ける熱を防ぐ為に腕を上げた。要塞は炎の撃ちつける衝撃に揺れた。そしてそれは地獄の海の波の様に飛沫をあげ、上下に振動した。すると黒い煙が全てを飲み込み、ダーシャは壁の端から離れた。

彼女の心は痛々しく閉じた。エクソダスは正しかった。アドラナスは谷に於いてジュカとミーアを問わず全ての民の虐殺を導いたのだ。その大虐殺は情け容赦ない大波の中で都市を粉々にしていった。とても酷い熱さだったので彼女の毛皮も焦げ始めた。彼女は地面で身動きの取れない数え切れない程の人を救うのには既に遅すぎると分かっていた。頭の中が絶望で一杯になった。ご先祖様、私達を見捨てないでください!私達はこの様な終焉を迎えたくはありません!

力強い手が煙の外から伸びてきた。それは彼女を煙の外へと引き抜き、そこで彼女をしっかりと掴んでいた。彼女は激しい怒りにねじれたウォーロード・ケイバーの緑色の顔を目にした。『我が民よ!』彼は叫んだ。『お前達は何をしたのだ?偉大な母により、お前達は我々全てを殺したと言うのか!』

彼女はケイバーの顔を見つめた。その顔はミーアの故郷である森の破壊を組織した男の顔であった。彼は不幸にもエクソダスに利用されている者だったのであろうが、それでもやはり彼には罪があった。彼の単純さがこの戦争を引き起こしたのだ。彼はアドラナスと同じ位の責任があった。彼女の恐怖は怒りの爆発へと変わり、彼女は彼の胸部を蹴りつけながらわめいた。彼は彼女を放し、壁から転落した。

彼女はその端の向こうを凝視した。彼は大火の中へと落ちてはいなかったが、要塞と独立した塔とを結びつける狭い石の橋の上に着地していた。彼はさっと立ち上がり、槍を投げつけた。彼女は数インチの差でそれを避けた。しかし、彼女の足が再び地に着いたとき、その壁はアドラナスの呪文の衝撃により震動した。大きな石の塊が秩序無く落下してくる。ダーシャは空を傾きながら走り、ケイバーの隣に着地した。そのウォーロードは重たい剣を抜き、彼女に向かって突進して来た。

闇雲な怒りがその時彼女を駆り立てていた。ケイバーの剣の振りは糖蜜のようにのろい物に彼女には直感的に感じられた。彼女はそれを素早くかわし、彼の傷ついた体へ次々に攻撃を叩きこんでいった。そのウォーロードはふらついていたが、それでも彼女は攻撃を止めなかった。要塞が揺れる衝撃の度に炎は勢いを増し、煙は肺に痛みを感じさせながら彼女の呼吸を妨げた。ケイバーの剣が彼女の防御に一点の隙を見つけた。剣の先端が彼女の腹に押し込まれた。しかし、その痛みは彼女にとって何でもない物であった。彼の煙で煤けた姿に向かって彼女は怒鳴った。『お前の馬鹿さ加減が私達を滅ぼしたのだ!これがジュカが永遠と言う物に向き合うやり方なのか?』

ウォーロード・ケイバーはこの悪夢の中で彼自身の一面を自覚していた。彼女は彼の爬虫類の目の中に気も狂わせんばかりの苦悶を見出した。雄叫びを上げ、彼はダーシャの腹の奥深くへと剣を押し込んだ。すると彼女の体はよろめいた。彼女の視界が徐々に薄れていった。そして刃は彼女の体から離れていった。

痛み、炎、そして煙からやって来る毒気は時間をゆっくりと引きずって行った。彼女はそのジュカの足元に石の橋が崩れているのを見た。彼は燃盛る炎の中に落ちないように、バランスを取る為に武器を振り回していた。

彼女の心の中で声がした。これがミーアが永遠と言う物に向き合うやり方なのか?

不思議な事に、彼女は自分の手がケイバーに届いているのを見た。彼女は彼の手首を掴み、彼も又彼女の手首を握っていた。彼の体重はもう少しで彼女を橋から引きずり落としそうであったが、自らの体力を振り絞りながら彼女は彼を飢えた炎から引き上げた。そして、彼女は熱の渦の中に倒れ込んだ。彼女はウォーロードが彼の腕に彼女を抱きかかえ、橋の終わりにある塔へと走っているように感じていた。そこで彼らは崩れた石を背に跪いた。

『ジュカは名誉と共に生きるのだ。』彼は唸るように言った。

『ともかく、生きている事を確認しようじゃないか。』彼女の指先は血まみれだった。塔の屋根の埃や煤の中で、彼女は明滅するルーンを印した。先祖への祈りで、彼女はその呪文を発動した。薄暗く冷涼とした中で、光が彼らを包んでいった。

彼らは深い闇の中に出た。洞窟の硬い壁から音が木霊してやって来る。ダーシャは幾夜か前に彼らがデュエルをしたのと同じ洞窟を探す為に、魔法の明かりをつけた。ちょっとした視線のやり取りで彼らには十分だった。すぐに彼女は彼らの傷を治癒し、そして彼らは洞窟の遥か向こうにある入り口目指して走った。急な傾斜地で、彼らは師アドラナスがどれ程の被害を与えたのかがわかってきた。

谷は山の端にまで炎が噴き出す炎の椀であった。煙が、大火が景観全体を焼き尽くそうとしている隆起線の向こうから上がった。

都市の中、或いは山腹にいた人は誰一人として生き残る事は無かった。雄々しく、両種族は他の場所で生き残った極少数の軍勢を召集した。この状況で最良の環境を得たとしても、生き残っていくのは難しいであろう。そして、冬の致命的な霜が数週間、或いは数日先に忍び寄ってきていた。

静寂の中で、彼らは谷から、想像を絶した墓の巨大な祈念碑の様な、渦を巻く煙の柱を見つめていた。

洞窟の中で、彼らは今にもダーシャを飲み込もうとする巨大な捕食者を発見した。それは出血が激しく弱っており、その傷から死に絶え絶えであった。協力して彼らはそれを仕留めた。その肉は火が収まるまでの間、彼らに栄養を補給する事になるであろう。

二日後、彼らは再び洞窟を離れた。彼らは並んで暗黒の谷を注意深く見下ろした。かつて強固なジュカの要塞の壁であった石の山を除いて、今では殆ど残っている物はなかった。既に人間達は瓦礫を掘り起こし始めていた。スカベンジャーガーゴイル(Scavenger gargoyle)が冷たく、灰色の空を旋回していた。ダーシャは二つの種族の黒焦げになった死体に彼らが何をするのか、想像したくなかった。

ウォーロード・ケイバーの不興の度合いは深刻だった。彼は反抗的なプライドを以って顎を上げた。『肉体は消え行くとも、名誉は永遠なのだ。ジュカは歴史にその存在を刻んだのだ。』

ダーシャは何も言わなかったが、彼女の思考は安息を取る事はなかった。師アドラナスはかつて彼女にこう言った。智慧は変化の必然性を重んじる。しかし、今に至ってさえ、彼女は彼の言葉を拒否した。ミーアは輪廻転生の真理の上に精神的な支えを築いてきた。ダーシャは人々が再び現れるであろう事を解っていた。彼らの姿は奇妙かもしれないが、魂は消え行く事はない。彼らはいつも前を見ている事であろう。しかし、彼らは背後に横たわっているものを決して恐れないに違いない。

それが智慧の本質なのか、と彼女は疑った。その教訓はとてつもない犠牲を生んだが、もしかしたら先祖達自身もこの運命の道連れだったのかもしれない。彼女の考えでは彼らの動機までは判断がつかなかった。彼女はただ前方を見遣り、決して二度と恐れる事はないであろう。

偉大さは時間により泡沫へと帰すが、栄光は忘れられる事は無い。古き時代の風は、とても静かに過去を歌う。








7:50 2017/05/28

by horibaka | 2017-04-01 07:48 | その他 | Comments(0)
BNNアーカイブ 復讐

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復讐

投稿日:2002年1月7日


全シャード
ミーア(Meer)の軍隊が第二の夜明けのように光り輝きながら、ジュカ(Juka)の都市を見下ろす形で現れた。山の頂上を幾つも越えて、彼らは目映い魔法の後光を纏いながら、複雑に入り組んだこの土地まで膨大な数で静かに、そして確実にやって来た。隆起線から彼らは眼下にある谷を覗った。そこには巨大な要塞に囲まれたグレーの屋根が幾つも見えた。ミーアの集団の輝きの中で、それらの建物は随分と小さく見えた。吹く風は、この夜行性の侵略者に萎縮し、その谷を陰気で静粛な物へと変えた。

しかし、暗黒の軍隊も又、山脈の基地へと集結していた。軍勢に於いてジュカはミーアの六倍あり、それが険しく、高くそびえ立った崖を通る山道に押し寄せながら、都市と斜面との間にある平地に集結していた。無数の盾と槍は戦闘準備を完了していた。カタパルトが弓矢部隊の中心に据えられた。軍旗がジュカの戦いへの飢えの証として、朝日の中で誇らしげに輝いた。

谷の静粛さは、ジュカの軍が囁き、声を出し、そして攻撃開始の前に躊躇っている臆病なミーアに対する苛立ちの怒声をあげるにつれて消え去っていった。

ダーシャ(Dasha)は頂上から、彼らの戦闘意欲の旺盛さに薄笑いを浮かべた。ジュカはその生来の野蛮な性質を越える理由で戦いをした事などなかった。彼らの熱意は子供っぽさと言う点に於いて惹きつけるものがある。しかし、子供と同じで、彼らはその敵を自分達が作り出した事を理解しないのだった。ミーアは光り輝く嵐のようにして彼らを悩ます事になるであろう。復讐は満足をもたらすであろう。同様に陰鬱な気分ももたらすであろう。彼女は罪の無いジュカの死を嘆く事になるであろう。しかし、彼らはミーアからより大切な何かを奪ったのだ。彼らは自分達自身に嵐を呼び込んだのだ。

彼らは黒幕の手先であるに過ぎなく、彼ら種族の滅亡を意味しない事をダーシャは祈った。エクソダス(Exodus)こそミーアの真の敵だった。今日、彼女はそれを戦火の中で証明するつもりだった。

彼女はジュカが戦闘配置についた事を確認すると、腕を上げ呪文を放った。金色の光線が空に撃ち込まれた。それは、ミーアの第一陣への合図だった。

永きに渡り山々はミーアの本当の親友として数え入れられてきた。天上の先祖達は他の世界からは隠された水晶の秘密を共有してきたのだ。ジュカがダーシャの故郷である森を破壊した時、歓迎してくれる大地の下へ避難したのだった。そして今、彼らはその古代からの同盟をもう一度求めた。山々は岩の唸りを以ってそれに応えた。

崖が揺れた時、ジュカは静まり返った。そして、巨大な厚い岩の板が山道の上の方で崩れる音がした。巨岩や瓦礫が頭上に打ちつけられる。彼らは引く潮のように逃げた。巨大な岩の柱が山の側面から剥がれ落ち、雷鳴のハンマーのように崩れ落ちた。土埃の雲がジュカを包み込み、その攻撃はこだまの中へと消えていった。

彼女はその土埃が納まるまで静かに見ていた。ジュカの軍勢が地滑りの後の隅に集まった。その数は四分の一ほど削られていた。

猛烈な怒りと共に、彼らは再びミーアに挑むべく向かって来た。

攻撃の第二波は最初のそれよりも大きな物になった。大地はジュカの足元でそれが隆起する度に大きな音を立てた。崖も崩壊の音をたてていた。一瞬にして地震が巨大な池の波紋の様に谷底全体を揺るがした。深い裂け目が大地を切り裂き、ジュカやその建物を飲み込んだ。都市の断片は埃と瓦礫の渦の中へ消えていった。ジュカの編隊の遺物は混沌と死の中にまき散らかされていた。

そして、崩れた大地の裂け目から、谷間中を満たしていく多くの黒い雲が吹き出した。余りの自らの有利さに、ダーシャはたじろぐ程だった。今までの攻撃の中で最も凄惨なものだった。長老達は針を持つ昆虫の群れを召喚した。その毒液は毒矢の様な効力を発揮した。それらもまた森から避難してきた者であり、それ故に怒りも倍して凄まじいものだった。ダーシャはジュカが一人としてそれらの怒りから逃れる事は出来ないと知った。

彼女は廃墟となった街から叫び声や煙がたち上がって来た時、目を閉じた。

しかし、彼女は深呼吸をして心構えを新たにした。ジュカの街に進軍し、その朝の仕事を終わらせる時がやって来たのだ。都市とその砦はすぐに陥落するであろう。彼女がその巨大な要塞に目を遣った時、要塞の壁に殆どダメージがない事に気が付いた。呪術が地震からそれを守った事は明らかだった。目を細め、彼女は思った。そこに居るのだな、エクソダス。

彼女の周りでは、ミーアの軍勢が山の斜面を駆け降りていた。彼らの歩みはとても静かな物だったので、不安定な足場も危険ではなかった。高く積まれた瓦礫の傾斜の向こうから、荒涼とした戦場への侵入路を作りながら地滑りが起った。戦士の使う魔法の輝きが谷全体を魔法の輝きに浸した。昆虫の軍勢もやって来る光にたじろいだ。

血まみれで混乱をきたし、毒に侵され破滅寸前のジュカの戦士達は侵略者達を不屈の獰猛さで迎えた。両軍が戦争の叫びの混沌とした中で衝突した。その一日が終わる前に大地はより多くの血に浸される事になるであろう。

しかし、ダーシャは仲間の前進に加わらなかった。彼らの目的は都市の中心に至る道を確保する事だった。一旦それが完了すれば、長老達が谷に入り、とどめの一撃を放つであろう。師アドラナス(Adranath)はジュカの敗北を決定づける古代の儀式を準備していた。それが実行されればミーアへの脅威は終わるだろうと、年老いた魔術師は請負った。

ダーシャはアドラナスが考えるよりも、ジュカに希望を持っていた。彼女はどうしてもジュカが永遠に葬り去られる事を望んではいなかった。少し前に彼女は、彼が岩だなから戦いを見ている時に、彼女のその申し立てをその魔術師の前で明らかにした。一礼し、彼女は小さな声で言った。『敬愛する我が師よ、お願いです。私がエクソダスに辿り着くまで、あなたの呪文を延期してください。もし、我々が奴の影響を取り除く事が出来れば、私はジュカが彼らの正しい役割に立ち返ると確信を持っています。』

その老人はうめくように呟いた。『今日、ジュカの終焉を目撃する事になるじゃろう。』

『彼らは既に罰されています。自らを癒し省みる為、エクソダスの支配から解放されるには十分な程だと思います。種族間の均衡は・・・』

『我々は多くの民を失った!古からの均衡はその存在を終えたのじゃ。残ったのは復讐だけじゃ。』

彼女は声の調子を下げ言った。『恐れながら、私は絶対に同意できません。』

アドラナスは顔をしかめ、それは彼女に冷水を浴びせた。『お前の目がお前の先入観を物語っておる。私の思考は乱れ、年齢が私の智慧を奪ってしまったと思っているのじゃろう。しかしな、キャプテン・ダーシャよ、私に年を経る事の理と言う物を語らせてくれ。智慧と言う物は経験の産物じゃ。智慧は変化の必然性を重んじる。しかし、若者は築き上げられた秩序や習慣しか知らず、それ故お前は変化を受け入れる事を躊躇っておるのじゃ。これこそ、若い者が転生の輪に取り込まれてしまう理由なのじゃ。お前の魂はまだ、自身に恃むだけの自信は持ち合わせていないのじゃ。』彼は否定を表す様に溜め息をつき、彼女を見つめた。『過去への執着を捨てよ。ジュカはかつてのジュカではない。我々もまた然り。今、古の秩序は終わるのじゃ。』

彼女は己の確信は捨てていなかったが、その年老いた魔術師に何も言えなかった。ジュカは望みが無い状態ではない。もし、彼女が単に若輩で頑固なだけならば、先祖達は彼女を然るべく評価したに違いない。彼女はアドラナスの凝視に耐え得る力を呼び起こし、言った。『何か他の命令をなさらないのであれば、私はエクソダスの下へ参ります。もしアドラナス様が呪文を唱える前でなければならないなら、どうか私の思う様にやらせて下さい。』

そのグレーの獣毛を身に纏った長老は耳を細かに動かした。そして、眉をひそめて呟いた。『我が子よ、為さねばならぬ事を為すが良い。お前の魂の行く道は実に悲しいものとなるであろう。お前は、いつかは偉大なリーダーとなったじゃろうに。』

『やがてはそうなりましょう、我が師よ。』

アドラナスは重々しい表情で彼女の強気な言葉を無視した。ダーシャは高尚な先祖達に祈りながら山腹を駆け下りた。:彼の地に根差した魂は憂鬱さに支配されてしまいました。ですから、師アドラナスを貴方達の列にすぐにでもお迎えください。来世において、クリスタルの尖塔が彼の活力を回復できるかも知れません。

彼女は傾斜地にある基地で、五十人ほどのジュカ戦士の一団に出くわした。彼女はジュカの都市が1時間前にそうだったような騒々しい恐怖の中へと彼らを叩き込んだ。大地は所々隆起し、亀裂が入り、建物は燃えながら倒壊し、刺の立った昆虫の被害者は腫れ上がるその痛みに泣き叫んでいた。それでもジュカの戦士は戦い続けた。彼女の遭遇した戦いは、速く、残忍な物だった。彼女が要塞の壁に到着する前に、彼女の通ってきた道には二百人のジュカ戦士が動かぬ者となって横たわっていた。彼女の仲間の一団も同様に倒れていった。

それらの前に巨大な要塞がぼんやりと見えてきた。その石垣はその日の悲惨な出来事の面影を殆ど残していなかった。彼女はその高い壁を上る為に戦士を集めた。彼らの魔法は胸壁の守備に就いているジュカの矢を振り払いながら、戦乱の煙の中で今だ光り輝いていた。ミーアが登り始めると、他の光が出現した。ダーシャはその呪文が何なのか解らなかった。エクソダスよ彼女はにやりと笑った。その中だな!だが、何を仕掛けている?その光は谷全体を包み込むかの様だった。彼女は背骨に何かが刺すような痛みを感じ、その魔法がもたらすかも知れない効果に身構えた。谷が光り輝いているのではなかった。彼女だった。その呪文は直接ダーシャに向けられたのだった。

そしてしばらく経って、彼女は要塞の中ではないかと思われる部屋の中に立っていた。ジュカ戦士の輪が、槍で彼女を床の中心に閉じ込めながら、彼女を取り囲んでいた。彼らはその中にいる最大の戦士を除いては、地震や昆虫の被害を受けている様には見えなかった。ウォーロード・ケイバー(Warlord Kabur)は前線からここに戻って来たに違いなかった。彼の鎧は地滑りの土埃から色褪せていた。彼のエメラルドの肌は怒りの刺激からかつての色彩を欠いていた。血が彼の強健な体格を彩っていた。ダーシャはそれがジュカの血でない事を知っていた。

『ここまでやって来るとは気でも狂ったのであろうな。』その巨大戦士は怒鳴るように言った。

『お前の名誉の為にここにいるのだ。』彼女は応えた。『お前が洞窟で私に武器を残していっただろう。お前が私に命を与えてくれた事には感謝する。それに、おまえがこの部屋へ私を引き込む魔法を放ったのではない。お前の主人エクソダスはどこだ?用があるのは彼だ。』

『私はここにいるぞ。』重厚な声が轟いた。それは奥の部屋の影から聞こえてきた。ダーシャは数個のジェムストーンの火花を除いて、その暗闇の中を覗う事は出来なかった。『非礼な招待をお詫びする、キャプテン・ダーシャよ。しかしどうも今日は忙しくてな。』

『お前はきっと私がここに来た理由を知っているであろう。お前がジュカを侵食した。私は我々と、そしてジュカとの間の古からの均衡を回復させるつもりだ。』

『ふむ、お前はジュカを救わねばならぬのであろうが、お前の欲している標的は私ではないぞ。お前の師であるアドラナスの手によって空前絶後の裏切りが進行中なのだぞ。彼も同様に均衡の回復を希求している。彼が実行しようとしている儀式は、イルシェナーからジュカを消し去るであろう。そしてキャプテン・ダーシャよ、ミーアもそれと同じく滅びるのだ。アドラナスは双方の種族にとっての忘却と言う安定を求めているのだ。我々全てにとって時間と言うものは短いものだな。』

彼女は、エクソダスがアドラナスの絶望の本質を言い当てたので、彼が真実を語っていると思った。そして今、知識の師の言葉を理解した。残されたのは復讐あるのみじゃ。彼女は体全体が凍りつくような狼狽に襲われた。老魔術師は本当に気が変になっていたのだ。そして、彼女が彼を止められる唯一のミーアだった。

彼女の口調は鋭く低かった。『畜生、魔術師め、こんな事を押し付けやがって!だけど私には助けが要るんだ。来い、ウォーロード・ケイバー。ミーアの長老に立ち向かう勇気があればの話だがな。』

そのジュカはしかめ面と笑い顔との間で態度を決めかねているように思えたが、彼は略式の礼を以って血のついた槍を手にとり応えた。









8:03 2017/05/27

by horibaka | 2017-03-31 08:02 | その他 | Comments(0)
BNNアーカイブ 野獣

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野獣

投稿日:2001年12月24日


全シャード
心の中で声がした。起きよ、大地の子よ。その時が来た。

ダーシャ(Dasha)を再び立ち上がらせようとする先祖の声である事は分かっていた。だが、傷の酷さは全く動けない状態である事を示していた。彼女は忘れ去られた洞窟の床の上で、闇に住む捕食者に飲み込まれようとしている、無抵抗な餌として横たわっているだけだった。巨大な獣が、すぐ近くで舌なめずりをしているのが分かる。

彼女が目を開けると、蝋燭の火が暖かな金色に輝いていた。その火は、鏡の様に光る鱗に反射して、より輝きを増していた。その光が鋸の様に並んだ二列の歯に反射する。これこそ、不名誉と言う悲劇に侵された種族の偉大な戦士である、ウォーロード・ケイバー(Warlord Kabur)の言う彼女の運命だった。ジュカ(Juka)は再び、野蛮に身を落としたのだ。彼女の嫌悪は、その獣の不快な息を聞く度に増していき、心の中で燻っていった。

妄想はお前を救いはせぬ、と心の中で声がした。

それはケイバーが去った時の、最後の言葉だった。

その獣は闇の中から大きな音を立てて近づいて来る。その背は低く、巨大で、その尾を引きずり、爪で洞窟の石の床を引掻いていた。ダーシャの体は硬直した。力は残されていなかった。彼女は自分をヒール出来る状態ではなく、戦える状態でもなく、弱りきっていた。だが、その場から逃げ出すくらいの力は残されている様だった。獣の住処の中で、彼女はこのまま死ぬ事と感じていたのだが、ほんの僅かではあるが、希望が見えてきた。先祖達が彼女に生きる為の少しの時間を与えたのだ。彼女はその贈り物に感謝した。

彼女は立ち上がる為に、手を床につきながら体を起こした。そのモンスターは驚いて暗がりに一歩退き、蒸気のような蒸し暑い息を吐き出した。ダーシャは何とか起き上がり、半分屈み込む様な姿勢で立ち上がった。モンスターの背後に出口の光が見える。脱出できるかどうかは、彼女の最初の動き一つにかかっていた。

彼女の後ろで何かが炎に照らして光った。後ろを振り向くと、瓦礫に長尺の武器が横たわっていた。それはケイバーのハルバードだった。彼女の血がその鋼鉄の刃に付いていた。

あのジュカが、彼女が身を守れる様に武器を残しておいたのだ。

心臓の鼓動が高鳴った。彼女には素手で戦うだけの力は残されていなかったが、ハルバードは、その爬虫類を退ける可能性をもたらした。一歩下がり、その矛を手に入れた。モンスターは大きく口を開け、腹這いに進み、悪臭を放つ警戒音は攻撃の意志を示している。ダーシャはハルバードの柄を手に取り、その重量を確かめ、獣の細長い舌に向け一撃を放った。耳を打つような物凄い唸り声が、洞窟に響き渡った。

その長い胴体の生物を飛び越えようとしてつまずいた。固い尾が彼女に向けて打ちつけられる。ダーシャはひざまずき、ハルバードの必死の打撃でその肉を裂いた。獣は唸り声をあげながら、辺りをぐるぐると回っていた。ダーシャはハルバードの尖端を爬虫類の口に突き刺し、外皮より柔らかいその肉を切り裂いた。彼女は最後の力を振り絞ってハルバードをより奥へと押し込んだ。ダーシャはとびすさった。モンスターは彼女の後ろでのたうち回っていた。

傷の痛みは始終彼女をふらつかせた。暗闇の中を、彼女は前方にある出口めがけ、手探りしながら進んでいった。捕食者が追って来なくなった時、歩調を緩めはしなかったものの、彼女に安堵の感がどっと押し寄せた。ただ一つの考えが彼女の心に浮かぶ:ケイバーは私を殺そうと置き去りにしたのではない。私が間違っている事を分からせる為、生かしておいたのだ。奴の中に名誉がまだ残されている事は分かったが、あの狡猾な蛇め!

彼女は、全ての方向の感覚が無くなるまで、岩に囲まれた薄暗がりの中を前へ前へとよろめきながら進んで行った。すると、黒い石が光が瞬くクリスタルに変わったかと思うと、ミーア(Meer)のヒーラー達に抱えられていた。彼らはダーシャを、行く場所を失ったミーア達が避難した山間の窪地、遠い昔先祖達の住んだ、澄みきった奥地へと連れて来たのだった。光り輝くホールの中で、ヒーラー達は彼女の傷を治療した。そして彼女を師アドラナス(Adranath)のいるエメラルドの謁見室へと案内した。ダーシャはその場で、大賢の魔術師に自分の体験を詳しく報告し、彼は憂いに沈む溜息で答えた。『ジュカが名誉を知ると?それはさして重要な事ではない、我が子よ。奴らの主人エクソダス(Exodus)は、覆しがたい、致命的な嵐をイルシェナー中に吹かせたのだ。人々は途方に暮れ、冬は間近だ。我々はジュカに罪を償わせるべく、奴らを打ち倒さねばならんのだ。』

『しかしながら、我が主よ、彼らは全く救いが無い訳でもありません。以前より野蛮の度を増しはしましたが、それ程酷くもありません。エクソダスが道を誤らせているのです。エクソダスを屠り、ジュカを元の状態に立ち戻らせましょう。古代からのバランスを過去の物にしてしまう必要はありません。』

『ダーシャよ、お前が実行責任者だ。すべきと思う様に為すが良い。ただ、我々の呪文と兵は準備が出来ている。明日、我らの敵はいにしえの秩序を見くびった代価が如何なるものか知る事になろう。』

クリスタルと炎の瞬くこの神殿では、朝日がかき消されていた。彼女は殆どの時間、復讐に飢えた装甲兵達の軍勢を見て歩き、兵達と過ごした。これ程までに巨大に組織されたミーア軍を見るのは初めてだった。行動開始となった時、彼らは完璧な統率の内に進み始めた。魔法が彼らを包み、星の如く輝いた。ミーア軍の見事な姿に、彼女の心はどす黒い喜びで満たされた。全くの所、戦闘が始まったなら、ジュカ達は彼らの行いを後悔する事になるだあろう。

それでも、ジュカが真の敵なのではない。彼女の先祖達それこそが、彼女にそう学びとらせた。エクソダスと呼ばれるものが世界にこの悪夢をもたらし、そして奴こそダーシャが真の敵と考えている存在だった。ミーア軍が出陣する時、ダーシャは彼女の不満の思いをジュカの謎多き主の下までもたらすだろう。その時恐らく、真の正義がこの混沌の中から生まれるだろう。そしてその時恐らく、彼女の心の中で未だ燻り火花を散らす残り火が鎮まる事だろう。








10:02 2017/05/26

by horibaka | 2017-03-30 10:01 | その他 | Comments(0)
BNNアーカイブ 闇の激突

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闇の激突

投稿日:2001年12月15日


全シャード
真鍮色に輝く蝋燭の灯火に囲まれて、そのミーア(Meer)とジュカ(Juka)は動物的な激情の叫びを上げながら、激しく戦っていた。怒り狂う戦いの音のみが、忘れ去られた洞窟の濃密な暗闇にこだました。

ミーアの伝統に則ってダーシャ(Dasha)はケイバー(Kabur)に素手で対峙した。情け容赦ない打撃の連続でそのウォーロードを突き砕き、雹の嵐の様に彼をなぎ倒した。その衝撃が洞窟の暗闇に反響する。強烈なキックを浴びせる度に、腹の中の怒りがどんどん込み上げて来た。パンチを浴びせる度に、ケイバーが破壊した故郷の凄惨さを思い起こした。アドレナリンの刺激が感じられて、彼女はジュカの血の強い匂いを振り払った。戦闘の衝撃が彼女の体を貫いて行く。それが繰り返される度に、彼女の中で復讐への渇望を満たす、本能的で魅惑的な感覚が育っていった。

彼女は心の何処かで祈った。『ご先祖様、未熟な私をお許し下さい!』

しかし、ウォーロードの装甲は、まるでミーア独特の攻撃に備えてデザインされているかの様に、彼女の攻撃を撥ねつけた。彼女が彼の兵士達を倒したような、ジュカの弱点を狙った攻撃も功を奏さなかった。彼の強固な体は、いとも簡単に彼女の攻撃を吸収した。お返しと言わんばかりに、彼は素早く熟練した手捌きでハルバードを振りまわすのだった。彼女はそのハルバードの必殺の一振りを、テラサンがオフィーディアンの攻撃をかわすかの様に、ギリギリのところで避けた。途切れない攻撃は彼女の俊敏さを要求した。たった一つのミスでその戦いは終わるところだった。

立ち位置を間違えたと思った瞬間、全身に寒気が走った。

ハルバードの刃が彼女の背中に向かってくる。彼女は弧を描くように跳び避けたが、尻に深手を受けた。そのジュカ戦士から離れる為、宙返りをする途中でケイバーの顔を片足で蹴りつけた。彼女は岩の多い地面に倒れこみ、そしてうずくまった。体の右側に激痛が走る。

ケイバーは血反吐を吐き、息継ぎをして吼えるようにして言った。『洞窟の出口はどこなんだ!?』

ダーシャは辛うじて目を開けながら言った。『デュエルを放棄するのか?』

『あと一撃もあればお前は終わりだ。そんな事より、この暗闇をさまよって時間を無駄にしてはおれんのだ。』

彼女は不平がましく埃を振り払い立ち上がった。呪文の柔かな光りが彼女の傷から痛みを消し去って行く。ヒールの魔法特有の、微かな刺激が全身を駆け抜けた。その少しの間に先祖の魂は、抑えきれない怒りの衝動を鎮めてくれるのであった。突然訪れた冷静さの中で、彼女は今一度ウォーロード・ケイバーを見つめた。全身に汗と血が流れていた為、彼は金色の蝋燭の灯火の揺らめきの中で、何かの化物のようにも見えたし、同時に巨大で底の知れない、何物にも屈しないと言うような尊大さも垣間見えた。彼が犯した罪にも関わらず、ダーシャは彼の戦士としての自尊心に感服した。ジュカは粗暴な生物ではあったが、彼らの性格は誇り高く、高潔な物であった。そのような性格により、彼らは原始的な起源を超え、高度に発達した技術や工業を発展させる事が出来たのだ。勿論、彼らはミーアとは全く異質のものだが、ダーシャのように一部のミーアは、彼らの知的な素養の真価を理解していた。ジュカはミーアとこの世界を分け合いながら、その高度な文明を形成した。

その種族間の古代からの均衡は脆くも崩れ去った。邪悪な何かがジュカを誇り無き姿へと引きずり込んだのだ。ミーアの知識の長であった師アドラナス(Adranath)は、不可解な魔術師エクソダス(Exodus)がここ10年の間にジュカを蝕んだのだと主張していた。ダーシャもその劇的な変化はエクソダスの呪法によってのみ説明できると思った。彼女はジュカのミーアに対する熾烈な攻撃への報復を練る為に、ウォーロード・ケイバーから直接、その変化がどのようにして起ったのか問い質す為にここまでやって来たのだ。

彼女は込み上げる怒りを飲み込み、呼吸を落ち着かせて言った。『教えてくれケイバーよ。エクソダスはどのようにしてジュカの営みを葬ったのだ。』

彼はハルバードを振り下ろし、苦い顔をして言った。『ミーアの知った事ではない。』

『お前の新しい主人は、お前達を奴隷にしてしまうような呪文を掛けたのか?それ以外、ジュカと誇りとを切り離す手立てなど無いはずだ。』

『ジュカの誇りは未だ存在する!尤も、エクソダス様がいらして若干変わりはしたがな。』嘲りさえ含ませて、彼は目を細めた。『お前達の種族には革命という考えが無いのだろう?お前達には歴史が不動のものだと思っている節があるな。』

彼女は苦々しく笑みを浮かべた。『ブラック・デュエル(Black Duel)を待ち伏せの罠に使っておきながら、よくそんな事が言えるな。』

『お前が個人的な会話の道具としようとしたのと同じ事だ。ブラック・デュエルは廃れた。もはや原始時代の遺物なのだ。お前の知るやり方は滅んだのだ。共に間もなく、ミーアも終焉を迎えるのだ。』

彼女は頭を振って応えた。『エクソダスはお前達を罠に掛けた。だが、ひょっとしたらその侵食は完了していないのかもしれない。』

『お前と話す事は無い。』そのジュカは大声で唸る様に言った。『その妄想を墓まで持っていくがいい!』

彼は最後の一撃を加えるべくハルバードを振り上げた。ダーシャは身を屈めた。次の瞬間、暗い洞窟に雷鳴が轟いた。戦っている双方が凍りついた。何か巨大な、獣のようなものが二人の近くにある通路部分を通り過ぎた。顔をしかめながら彼女は考えた。ここに居るのは人間だけではなさそうだ。

ケイバーのハルバードが彼女の前に素早く振り落とされた。後ろに退くのが遅すぎた。その刃は胸の鎧を切り裂き、その下の肉をも切り裂いた。血が流れ出す度に、蝋燭に照らされて煌いた。彼女はその痛みに叫び声を上げた。そして、とんぼ返りをしようとしたが、傷は彼女の片手を使い物にならなくしていた。彼女はその場に崩れ落ちる。そのジュカの次の一撃は、彼女の肩に向け地滑りの様に撃ちつけられた。それと同時に彼女は、固い地面へと叩きつけられた。激しい苦痛のみが彼女の体を支配する。手足は凍り付き、動く事を拒んだ。

はらわたの中で激しい怒りが猛り狂うが、傷が思うようにさせてくれない。血が滴り落ちる度に自分の体の不自由を呪った。彼女は心の中で叫んだ。ご先祖様、貴方達のせいで…!それと反対の事こそ真実とは解りながら。

彼女の頭上にウォーロード・ケイバーがぼんやりと見えた。彼の武器はまさに最後の一撃を加えようとしているところであった。殆ど頭を動かす事は出来なかったが、最後の力を振り絞り、そのエメラルドの皮膚をした巨人を侮蔑した。『ジュカが成し遂げてきた事も、お前のせいで台無しだな!』

その将軍の目に怒りが充満した。『私は未来を守ろうとしているのだ!だが、ミーアは来るべき危機に思いを寄せるには、余りにも自己の事のみ考えすぎるのだ。お前達の言う”2種族間の均衡”なるものは、要するに停滞以外の何物でもない。我々は終わる事のない対立の為に何世代も費やしてしまった。その間に、ガーゴイルや人間共はより知恵をつけ、勢力を拡大していった。しばらくすれば我々の脅威となるだろう。ダーシャよ、この世界は変わりつつあるのだ。ジュカもそれに合わせねばならん。さもなければ滅亡あるのみだ。それこそ我々がかつてのやり方を捨てた理由であり、ミーアを滅ぼす理由でもあるのだ。生き抜く為に我々は支配せねばならん。これこそエクソダス様が授けてくださった御智慧なのだ。』

『不名誉は高貴な羽を身に纏う。』彼女はケイバーを苛立たせるかの様に言った。『が、賢者はそれに惑わされない。』

ケイバーは鼻息を荒立たせて怒った。一瞬で彼女の首に向けてハルバードを振り上げた。その時彼は手を止め、その尖った耳を澄ました。重苦しい響きが暗闇の中を移動している。洞窟の中の獣が、その音を響かせながら近くまで来ていた。

『勝手に判断するがいい。』そのウォーロードは雷のように叫んだ。『その妄想はお前達を救いはせぬ。』

そしてすぐ、彼は闇の中へと消えて行った。彼女は彼の足音が遠のいていくのを感じたが、それに代わって巨大な何かが近づいてくるのを感じた。その生物は漆黒の闇の中、辺りの臭いを嗅いでいた。鋭い爪が繰り返し石に擦れる音がした。

彼女にはヒールの呪文を唱える力は残されていなかった。防御すらままならなかった。ほんの僅かの間、そのモンスターを近寄らせないようにする為に、精々蝋燭の輪の中心に這って行く事しか出来なかった。しかしその努力の意味も疑わしかった。彼女の使命は失敗したのだ。エクソダスは、ジュカを強力に束縛していたのだ。ケイバーは充分エクソダスに侵されている。それが為に彼はダーシャに潔い死すら与えず、獣に貪り食わせる為に彼女を残していったのだ。

どのような形なのかは彼女にも分からなかったが、勿論の事転生が彼女を待っていた。ケイバーの殺戮が効を奏すならば、ミーアとしてではないであろう。師アドラナスは確信していたようだった。しかしダーシャはそれほど悲観的ではなかった。その答えはすぐに消え去ってしまった。蝋燭の灯火がその生物の鱗を映し出した時、彼女の唇からは不満気なため息が漏れた。正面を向いて、黒曜石の様な目を閉じた。







5:28 2017/05/25

by horibaka | 2017-03-29 05:27 | その他 | Comments(0)
BNNアーカイブ 挑戦

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挑戦

投稿日:2001年12月12日


全シャード
険しい崖から独りジュカの要塞を見下ろしながら、ダーシャ(Dasha)は気に入っている皮の鎧を脱ぎ、その金属部分を磨いていた。暖かい風が彼女の斑模様の毛皮を撫でるように吹いた。その黒曜石の様な目は、炎の合図を確認しつつ、目の前に広がる谷を捉えていた。

彼女の背に広がる夕焼けは、空を広大かつ豪華な劇場へと変えていた。しかし、谷の下から空を見上げる者に高く、隆起した岩山の間にある彼女のシルエットを捉える事は出来なかった。彼女は要塞の壁の上で警備に当たっていたり、要塞の周りを取り囲むように建っている家に住んでいるような、個人としてのジュカを理解出来ずにいた。町から窺える唯一の動きといえば、ランタンの灯火を点けている事くらいであった。調理の際の火が羽状の煙となって空に立ち昇っていく。夕刻の風は、秋がやがて来る冬を拒絶しているかの如く、穏やかな微風となって谷間を吹き抜けて行った。

そのミーア戦士は、先端が平坦になっている巨礫の上に、鎧を整理しながら腰掛けた。その時は鎧を必要とはしていなかった。ジュカの警備兵がこの岩の多い坂をよじ登って来る事は無かった。これらの乾いた山々の唯一の住人は、訳の解らぬ言語を用いる人間の一種族であり、彼らの荒い造りの武器は、彼女にとって恐怖でも何でもなかった。風の中で鎧を着た時、重要なその一夜を導いてくれる偉大な先祖の魂を呼び出した。ジュカがトーチに火を灯し、二つの種族の試練が始まろうとしている。

腹の辺りに僅かばかりの刺激を感じ、彼女は魂の到着を悟った。その感覚は手足や顔に広がっていき、やがて全身に力と冷静さがみなぎっていった。彼女は魂の到着を歓迎した。先祖達はミーアの叡智を構成していた。そして長く、充実した人生を送り、後により純粋な存在になっていくのであった。クリスタルの尖塔にある天上の都市から、彼らは大地と木々とを駆け抜ける若い魂に手助けしながら、下劣な王国を覗っていた。ダーシャは彼らの助けに感謝した。彼女は尊敬を受ける戦士であり将校であったが、彼女の生命は二百回の夏至を迎えるには及ばない物であった。彼女はまだ光明を見出すには若すぎた。もし、彼女が今日死ぬのならば、彼女の魂は若いミーアの体に宿り、物質的な存在における戦闘や交渉といった事について教えることになるだろう。そして、彼女の高い功績から、数世紀の経過だけで、彼女は来世にある聖なる尖塔に住む高尚な先祖の列に加わる事になるだろう。

もちろん、今夜死ぬ訳には行かなかった。彼女は屈強のジュカ戦士に対面し、彼から説明を求めねばならなかった。ジュカの軍はミーアの故郷である森林を破壊した。彼女は敵が名誉の伝統を破ってまでそういった事をした理由を知りたかった。古来からのジュカとミーアの均衡は、その回答にかかっていると言っても過言ではなかった。新たな光が街の中で光った。一点の星のような炎が石壁の要塞にある高いタワーの頂上に現れた。鼓動が高鳴るのがわかる。それこそ合図であった。ウォーロード・ケイバー(Warlord Kabur)が彼女の提案に応じ、1時間以内に現れるというサインであった。

永遠の存在である先祖達の導きによって加護されながら、彼女は肩に掛けた鞄の中に装備を詰め込み、薄暮の中へと進んで行った。

かつてダーシャが古の森に住んでいた頃、夕暮れはゆっくりと眠りにつく前の瞬きのようにしてやって来るものであった。彼女はその安らぎを覚える光景を目にする事は無くなった。この辺りの山々では、夜は石や雑木林を飲み込みながらやって来る黒い影が押し寄せるようにして訪れるのであった。彼女は迷宮の薄暗がりを音も無くそっと歩いた。彼女の目的地は、二つの鋭い角を持った岩に挟まれた洞窟であった。そしてそこでは安らかな風が吹いていた。地上で洞窟の扉が開くまで、彼女はクロスボウの矢を装填していた。そして彼女は冷たく暗い入り口に歩み寄り、装備を付け始めた。そのような事をしつつ、彼女は一世紀の間に渡って戦ってきた敵に関する知識を思い起こしていた。

ジュカは強固な肉体と意志とを持った粗暴な種族であった。高度な技術と文化がありながらも、それらは生きている事の究極の実感を彼らにもたらす事は無かった。この荘厳なまでの喜びへの衝動が戦いへの強い欲望に変わるのは至極当然の事であった。ジュカの氏族たちは情け容赦ない熱情を以ってお互いに戦った。そして、ある一つの氏族がやって来て、他を支配するようになると、その結合したジュカ全体が、今度は隣人であるミーア社会へと攻撃対象を変えてきた。二つの種族間の戦争は伝説と歴史とを通じて知れ渡る事になった。

更に、ミーアと違って、ジュカは生命の再来という事に重きを置かなかった。これらの翡翠色の肌をした戦士達は、一回限りの人生を送った。その死に名声を伴えば名誉の大聖堂へ、不名誉な死であれば忘却の彼方へと送られるのであった。その様な事から、ジュカは躍起になって栄光と名誉とを追求するのであった。彼らの社会の中核には、揺ぎ無い徳、勇気と率直さ、そして敵への敬意という伝統が根付いていた。彼らの魂は、それらの掟と言ってもいい物への忠実な厳守を基盤としていた。ジュカはその事を道(the Way)と呼んだ。まるで、それ以外の物は存在しないかの如く。

ジュカの軍はミーアの森を焼き尽くした段階で、彼ら自身の道を踏み躙った。彼らの謎多き、新たな支配者であり、奇妙な名前のエクソダス(Exodus)がそうするように命じたのだ。しかしダーシャは、ジュカが不名誉に繋がるような事を説得されても強要されても決してしないという事を知っていた。薄汚れた呪法。それのみが、この劇的な変化を説明する事が出来た。彼女はウォーロード・ケイバー自身に問い掛ける事で、その真偽を確認しようとしていた。それを知ることによってのみ、ミーアが復讐を果たす術を知る事が出来るのだ。

先祖達はダーシャの心に平静をもたらしてくれた。それは、ミーアの古来からの故郷を破壊し尽くした将軍に会って逆上してしまいそうな彼女にとっては、ありがたい物であった。

中から見ると、洞窟の入り口は目立たないようにした逆茂木のようであった。巨大な影が、その隙間を埋めた時、光が消えた。ダーシャはたじろいだ。とても低い声が轟いた。『お前が私のようにしても、私は驚いたりはせぬがな。お前に残されている勝利への希望はただ一つ。戦う事であろう。』

ウォーロード・ケイバーは洞窟にランタンを持ってやって来た。もう一方の手にはクロスボウを持っていた。彼の手に比べると、それは小さく見えた。ケイバーは大柄なジュカの中でも巨人戦士と呼ぶに相応しい体格をしていた。強固な鋼の鎧と金のすね当てが、彼の大きさをより強調していた。全てのジュカと同様に、彼もまた彼女にとっては気難しく思われた。鼻はなく、爬虫類のような目をしており、その口は小さく、そして硬かった。しかし、ケイバーの表情はそれ以上の何か他のものを明らかにしているようであった。何かは解らないが、その何かが彼の視線をより険しいものにした。彼女は自らも睨みつける事で対抗しなければならないような気がした。

『私に会いに来たのだろう。』彼女は言った。『ブラック・デュエル(Black Duel)の儀式に則って。私はお前が為した不名誉な行いの説明と贖いを求めにやって来たのだ。』

将軍は低く唸るような声で言った。『お前の残していった通牒とシルクのスカーフは確かに受け取った。ジュカの習慣について、よく知っているようだな。』

『私はお前の祖父が生まれる前から、お前達ジュカと戦ってきているのだ。ジュカはいつでも道を尊んできた事も知っている。だからこそ、お前はブラック・デュエルを尊重し、秘密裏に私に会いに来たのだろう?』

ケイバーのエメラルドの唇がねじれて作り笑いとなった。『私はお前達の故郷である森を焼き尽くした。それなのにお前は私がまだ古い掟などに囚われているとでも思うのか?』

『お前の祖父や父は名誉の決闘を重んじてきた。お前の一門への名望がお前に同じ事をさせるはずだ。』

『私は新しい価値を創造しようとしているのだ。勝利という名の価値が私を手招きしているのだ。』彼は狭い入り口から、より天井の高い洞窟の奥深くへと入って来た。洞窟の外からは多くの足音が金属音を伴って鳴っているのが聞こえてくる。彼女は目を細めて言った。『邪魔するなら、外のものは全て消す。』

『邪魔するべきブラック・デュエルなどありはしない。ここに来たのはお前をエクソダス様の御前に連れてゆく為。一族の中でも多くの事が変わったのだ。尤も、ミーアに解って貰おうとは思わぬがな。』

その時、彼女は生命の危機にある事を理解していた。ケイバーは道を捨てたのだ。彼は一対一の決闘を彼女を捕らえる策略として受け入れたのだ。すぐに突入してくるジュカの戦士の嵐のような足音で洞窟中が満たされる事になった。槍の先端がケイバーのランタンの灯りを受けて光った。

全てのミーア戦士と同じく、彼女の武器無しでの戦闘の技術はジュカの戦士のぎこちない戦斧の振りを圧倒していた。霧の如く彼らの周りや、その間を動き回って彼らの皮のような体の継ぎ目を撃ち、彼らの鎧自体を武器にしてしまうかのように、鋼の鎧を血管や骨に当たるように打ち当てた。戦士達が一山の塊となった時、彼女は洞窟の闇を破るような光を放つ呪文を素早く唱え、彼らを蹴散らした。数秒後には岩肌のあちらこちらで無残な死体が散らばっていた。

外では他の戦士達が叫んでいた。ダーシャは深呼吸した。全軍を壊滅させる事は不可能だ。しかし、目標は目の前にあるのだ。ウォーロード・ケイバーに斬り込む直線位置に障害となるジュカはいなかった。彼女はその巨大な戦士のもとに跳んだ。彼は彼女が飛び掛ってくるのを見て大声をあげ、彼女の方向に向けて倒れた戦士のハルバードを振り回した。彼女はその必殺の一撃をかわし、その武器の長い柄を掴んだ。光のような速さで動き、彼女は地面に倒れた。それと同時にケイバーは洞窟の奥へと投げ飛ばされた。

彼はダーシャが洞窟の床で唱えたルーンを通り越すと同時に消え去った。

彼女も素早く後を追った。魔法の呪文は彼女を光で包む。彼女は山のより深い場所にある他の洞窟の中に現れた。彼女は足元にある同じルーンを他のジュカがやって来ないようにブーツでかき消した。そして、装備を付け直し、驚いているウォーロードを目の当たりにしながら、自らの高貴さを取り戻した。

彼らは決闘の場所として設けられた輪状に並べられた蝋燭の中にいた。巨大で暗い窪みが彼らの周りに浮かんでいた。来世のような凝縮された静けさの中で、ダーシャは腕を組み呟いた。『ブラック・デュエルに訴え出たのは邪魔なしで話ができると思ったからです。後でどうなっても構いませんから、どうか暫くこのままで。』

揺らめく蝋燭の火がジュカの目の中の憤激を明らかにした。彼はハルバードの柄を二つの拳で互いに握り直していた。『お前が戦いによって私を説得しようというのなら、ダーシャよ、お前はもう成功していると言っていいだろう。偉大な母の名にかけて、ミーアの森をそうしたように、お前も切り刻んでやろう!』

嵐のように彼は彼女がわからない位の連続した攻撃を浴びせてきた。彼女は彼のハルバードによる打撃を避けるため、宙返りして後方に押されざるを得なかった。その隙に、彼は次の攻撃の用意をした。ほんの暫くの間、ダーシャは再びウォーロード・ケイバーについての判断を誤っていないのだろうかと考えた。高貴な先祖達は彼女の中にいた。しかし、彼らですら不名誉なジュカなどに遭遇した事はないのだ。古の叡智はこの奇妙なジュカの軍の暗黒の復活に打ち勝つ事が出来るのであろうか?

ダーシャは自分自身に向かってぼやいた。まず戦おう、それから尋問すればいい。もし誤りの弁解よりも死を選ぶのならば、私が殺したも同然だ。それはそれでいいだろう!そして彼女は図体の大きいウォーロードと同じ位に猛然と攻撃を開始した。彼女の目は復讐への強い欲求に燃え立っていた。








5:22 2017/05/24

by horibaka | 2017-03-28 05:21 | その他 | Comments(0)