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BNNアーカイブ Dudagogの物語

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Dudagogの物語

投稿日:2001年5月7日


全シャード
前回の作戦会議中でDudagogの受けた「祝福」と呼ばれる片目への血の洗礼は、長老シャーマンから受けた不可欠で刺激的な長い儀式の一端であった。シャーマンたちは何かに急いでいる。ここへ来てたった20度目の生活の火をおこしただけで、部族移動のための準備を始め、合図のための骨でドラムを掻き鳴らしたのだ。Dudagogは小枝と骨の山でできた住処と呼んでいる場所の記憶さえ、まだおぼろげだと言うのに…。

Dudagogは、かつて獲物の多かった場所を覚えている。常に腹を膨らませてくれるだけの新鮮な鹿や人間達が徘徊していた。その地に集う仲間はゆうに数百を超え、敵のいない贅沢な暮らしから肥満になるオークさえいたものだ。若い頃のDudagogも放浪的な生活を好んでいたが、年齢からくる悪癖だろうか最近は、獲物を追い求めるよりも、座って食事を摂ることで肥満傾向にある。その性格が災いとなり、若いオーク達への新しい丈の長い武器の訓練についてシャーマンへ相談をしたときにも、長老は素早い杖のひと振りをぶざまなDudagogの片目に平然と振り下ろした。ただし、Dudagogは仕返しを考えるほど馬鹿ではなかった。シャーマンの恐ろしい力は、オークの周りに溶岩が煮え立つほどの熱気を発生させられることを知っている。

今朝、生活の火もようやく燃え上がるころ、Dudagogは思っていたよりも早く目を覚ました。その身体はくたびれて錆びてしまった拷問用の玉に共通するようなしびれと痛みを伴うはずだった。シャーマン達は朝早くから夜遅くまで訓練を行うことで、早期に攻撃部隊の準備を整えることを望んでいた。一体何に対する準備なのだろうか?この見えない危機は、新しいオーク占領地の拡大計画にも増して大きな噂を部隊へ呼んでいた。何故、より多くの占領地が必要なのだろうか?オークに何が必要なのだ?オークキャンプならすでにあるではないか?随所に点在するエッティン部隊とは友好的な同盟関係を持っているにも関わらず、我々オークは彼らの生活地域とは遥かに離れた地に生活しているのだ。Dudagogはシャーマンのように頭脳明晰ではないかも知れないが、考えるに心強い同盟者の地から立ち去ることは間違いだと信じていた。その彼の考えとは主に「腹減った、食べる」「邪魔だ、どけ」「疲れた、寝よう」「まだいるのか?また邪魔だ」など、とても通常のものだった。

Dudagogが斧を研ぐのは、唯一憂鬱なときだけだった。家から持って出たときには新品だった研ぎ石も、今では小さな石の塊に姿を変えている。訓練開始までにはまだ少し時間があるようだ。そして斧に目を落とすと、切れ味よく仕上がったそれは彼の喉を乾かし始めていた。もちろん空腹感もあるのだが、たとえ食べたとしても空腹感はなくならないのだ。それがこのところの彼の悪癖にもなっている。しかし、喉の渇きに対しては適切な対処をすることができた。Dudagogは近くの小川まで歩き水を飲もうと考えた。例え新鮮でなかろうがビールの方がいいに決まっているが、彼は訓練の前に飲酒することを禁じられていたのだ。仕方なく決心をすると、彼の脳は脚へ命令を伝え、彼を小川へと向かわせた。

驚いたことに、小川にはすでにDudagogの生徒の1人が陣取り、こともあろうか小川に入っていたのだ。Dudagogは立ち止まり、この光景に目を釘付けにされていた。オークはもともと水を飲むことを嫌い、ましてや水浴びなどをすることはありえないはずだ。水の中に長時間いたとしても、泳ぐというコンセプトを本来持ち合わせていないし、それが出来ることはオークにとってなんの自慢にもならないのだ。Dudagogは目の前の出来事が腹を満たすためのことではないにも関わらず、即座に判断を下すことができた。その痩せた馬鹿者を一刻も早く水から出してやらねばならない。さもなければ、きっとその若いオークは朝の肌寒さで命さえ危険にさらすことになるだろう。

最初のショックはここで起きた。その無能なオークはDudagogの掛けた命令を一切無視したのだ。風呂を浴びているのではない以上、昨夜からの一件ですでに寿命が縮まりそうな彼としては、無視されたことにショックを受けるのも当然だ。Dudagogが突如として命を落としてしまうまでには、後3段階ほどショックを受けるステップがあるのだが、まずはこれが最初の一歩だった。研ぎ石を小川に投げ込むことを思いついたDudagogは早速それを実践した。2回目のショックは痩せ細ったオークが研ぎ石をつかんだとき、そして、直後に3度目のショックがDudagogを襲った。若いオークの皮膚が緑色に輝き出すと、首のあたりから自分で皮膚をめくってしまったのだ。唯一ショックを受けることがなかったのは腰を抜かすことなく、その不気味なオークに背を向けることができたことだった。

遂に最後のショックがDudagogを襲った。Dudagogの右足は着実に歩む動作を始めたのだが、背後から後頭部への強烈な研ぎ石の一撃が走ると、あまりの勢いに喉を突き破っていた。Dudagogはそれ以上、喉の渇きに悩まされる必要はなくなった。朝が終わる頃にはすべてがまた静寂に包まれていた…。


注意:この物語の内容は必ずしもゲーム内でのシナリオと一致するわけではありません。








9:01 2017/05/04

by horibaka | 2017-04-13 08:59 | その他 | Comments(0)
BNNアーカイブ 鎧を愛でる祭事

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鎧を愛でる祭事

投稿日:2001年5月6日

Jane Bryant, BNN Reporter
全シャード

いつもは閑散としているTrammel SkaraBraeのホールに、大勢の物見客が訪れていました。それはというのも、ホールの奥に鎮座する奇妙な甲冑のおかげなのです。

ホールはある種奇妙な雰囲気に包まれていました。ドアをくぐって程無くして、皆馬を降り、それが当たり前であるかのように靴を脱ぎ捨てて先を急ぎます。
床には荒い繊維を編み上げたと思われる、分厚い絨毯が何枚も敷き詰められ(それは皆が言うには「タタミ」という敷物とのことです)、直に座り込む者、「セイザ」という組み足を試みる者も現れました。これといった模様も見受けられないこれらの敷物には心が宿っていると皆は言います。
床に直に座り込む人々の隙間を縫うようにしてホールの奥に歩を進め、ひときわ大きな人だかりの先に視線を移すと、そこには皆の注目を一身に集める甲冑が飾られていました。
所々を紐で結ばれ、継ぎはぎであつらえた奇妙な甲冑は、隙間も多く一見して素晴らしい出来映えとは言い難いものがあります。装飾品としての鑑定眼を持ち合わせているわけではないにしろ、ここまでもてはやされるには何らかの美術品的価値のあるものなのではと思わせます。
端でぶつぶつとウンチクを垂れる、少し腰の折れた中年の男が語るには、武勇を奉り、男子のたくましく力強く成長することを願った催しとのこと。小脇に吊られた魚のイミテーションの意味するところは結局分からずじまいでしたが。








0:40 2017/05/02

by horibaka | 2017-04-12 00:39 | その他 | Comments(0)
BNNアーカイブ 巨大イカ捕獲される

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巨大イカ捕獲される

投稿日:2001年4月27日

Morlice Johnson, BNN Reporter
Asuka

身の丈が大人10人分、重量255ストーンはあろうかと言う巨大イカが捕獲された。Vesper所属の網漁船が沖合で操業していたところ、何かに衝突し船が船尾左舷に大きく傾いたという。幸い衝撃は小さく転覆は間逃れ、急ぎVesper港に引き返し、入港するために税関前を通過したところ、税関職員が網にからまった巨大な下足を船尾に発見した。Vesper港に引き上げられた時点で既に死亡していたという。これだけの大きさのイカの捕獲はVesperでは例がない。

網漁船の船長Calebさんは衝突した直後座礁と勘違いしたが、衝撃が「岩にぶつかったにしては柔らかい感じもした」という。いずれにしろ船が大きく傾き今にも転覆しそうな状態だったため、急ぎ帰港したという。
「こんな大きなイカは漁師になって以来見たことがない」
「こんなのがひっかかっていてよく転覆しなかったもんだ」
巨大イカを前に船員達は興奮した面もちで語った。Vesper周辺に生息しているかどうかを含め、生態については不明。








5:22 2017/05/01

by horibaka | 2017-04-11 05:20 | その他 | Comments(0)
BNNアーカイブ イルシェナー伝:パート III

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イルシェナー伝:パート III

投稿日:2001年3月20日

ジャーノ・ミリク
全シャード



ファセットこそ違えども、徳は確かに存在しているようだ。我々の探検隊が全てを目撃したわけではないのだが、イルシェナーのどの地域でも8つの徳の神殿についての話を聞くことができた。最も古いとされる、慈悲の神殿(Shrine of Compassion)を建造したのはイルシェン自身だと伝えられている。しかし、実際には彼女の存在を明らかにできる文献は非常に乏しく、わずかに残されたこの詩に詠われている程度である。
『イルシェンは輝きに満ちていた
  音もなく遥か太陽の高みへ向け
 アンクがそびえ立った
  この慈悲の大地に』
奇妙なことに、混沌の神殿(Shrine of Chaos)もまた発見されている。きっとロード・ブラックソーンが聞けば喜ぶに違いない。

人々と神秘

我々が直面している最も大きな疑問は、イルシェナーの人々に何が起こったのか?ということだ。ほんの僅かずつながら、我々は手がかりを見つけだし、我々はその発見の度に驚かされることとなっている。そう、我々の物事を見据える目を変えることとなる知識に。

「粉砕」のおよそ150年の後、最も驚くべき事が起こった。アルボル(Ulvol)という名の非常に優れた魔法使いがファセットを越えたゲートを開いたのである。アンスキスタスの民はそれをファセットとは呼んでおらず、"アンクタマール(Anktermar)" - "秘密の世界"(hidden worlds)と表現していた。アルボルは彼自身がそれらのゲートを、あたかもリュートの弦のように調整することが可能であることに気づき、新たな目的地を発見することができた。我々はこの驚くべき方法に関する記録を見つけだしたいと思っているが、今のところ成果はあがっていない。イルシェナーの人々は、ちょうど読者や私がブリテインからスカラブレイに移動するかの如く、ファセット間を行き来していたのだ。これは非常に驚くべき事である。次なる疑問点は、それらのゲートはどこにあるのか?ということだ。"ヴァスグレス"(Vasgres)と呼ばれる固定ゲートに関する文書が世界間の交易に用いられている。今までにそのようなものを発見した者は誰もいないが、我々はミスタスのいくつかの文献において、通路に関するものを発見した。
『4人の反逆者が正義のヴァスグレスから虚空へと送られた。残りの bal-lem も投獄されている。アンクタマールと繋がる献身の地(Sacrifice)の最後のヴァスグレスは封印された。私たちの民と外界に存在する者との安全が確認された。私たちは正しい行いを為し、ミスタスを復興させてきた。自らの身を捧げた友よ、徳の神殿が常に共にあらんことを。』

『bal-lem |/|/|/|(解読不能)|||/// が北の塔を占領し、破壊するに及んでいる。』

『 |/|/|/|(解読不能)|||/// がやってきた。彼は bal-lem だ。彼は Anilem になろうと目論んでいる。』

『bal-lem はAnorlorの仲間たちと軍団を作っている。彼らは私たちの破滅を目論んでいる。』

『bal-lem |/|/|/|(解読不能)|||/// を私たちが作った牢獄に永遠に封印するために、8人が名乗りを上げている。彼らに徳の導きがあらんことを。』

『ヴァスグレスからの移住は完了しつつある。もし |/|/|/|(解読不能)|||/// が戻ってくるようであれば望む者は逃げた方が良い。』
bal-lemとは "邪悪なる者"(Evil one)を示している。全ての箇所で、この "邪悪なる者" の名前は削除されてしまっている。bal-lemが誰であったにせよ、現在は投獄されており、イルシェナーの殆どの住民は他のファセットに避難してしまっているようだ。これはちょっとした混乱のようだ。何故この "獣" が捕らわれたというのに彼らは戻ってこないのだろうか? 何故ファセット間を通じるヴァスグレスを破壊するのだろうか? 繰り返しになるが、これに関する文献や古文書が早く届くことを願っている。

結論

多くのことが未だに語られていない。これは、ソーサリアの異なるファセットであるフェルッカとトランメルのように、このイルシェナーについて要約しているかのようだ。不死の珠玉が粉砕されたときに断絶した世界。徳の考えが存在し、従われた世界。強大なる悪が存在し、投獄された後にも恐れられ、かつての住民さえ戻ろうとしない世界。この単純な事実によって、我々の中にも無意識のうちに発散している恐怖のために冒険を中断する者がいるかもしれない。それは既に投獄されているというのに。
ジャーノ・ミリク
ライキューム 上級学術研究員









7:26 2017/04/29

by horibaka | 2017-04-10 07:25 | その他 | Comments(0)
BNNアーカイブ イルシェナー伝:パート II

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イルシェナー伝:パート II

投稿日:2001年3月20日

ジャーノ・ミリク
全シャード

復興

残された人々は徐々に復興を遂げると、その集団の中から指導者が現れた。強く確信して言えることだが、イルシェン(Ilshen)は人々をまとめ上げ、秩序を復活させた。イルシェンは僅か22歳の若さにして、文明の再構築に乗り出したのだ。世界中の全てのものが適切に配されるように尽くし続けた彼女の献身以外のことで、彼女について言及された記録は殆ど残されていない。我々は世界の再構築を始めたこの若い女性についての文献をもっと集めたいと願っている。

世界の北東部に集まった人々は山際に街を形成し、モントール(Montor)と名付けた。その昔、ソーサリアには同じ名前の都市が存在しており、それは皮肉にもロード・ブリティッシュにより統治されていた。当初、私はこの名前は親しみのあるかつての街の名前を流用したのだと思っていた。しかし、読者諸氏はこの名前を "山の情熱(Mountain Passion)" と直訳することができるだろう。後者の方が正しいようだ。別の文書では、この名前は "Mont-Or" と表記されている。後者の名前は災害の中を生き抜く人々の都市の名前として実に適している。この都市ができあがるまでには40年ほどかかった。全ての文献を総括するに、この都市は山と街との間を滝が流れる楽園であったようだ。イルシェンと学者たちの議会によって法と政府機関が定められ、平静に統治されていった。

モントールは、完成から20年後に破壊された。何が起こったのかについての文献は発見されていないが、モントールは火山の噴火に遭ったのではないかと思われる。形成された都市は完全に振り出しに戻ってしまったのだ。また、モントールの人々はこの噴火を予期しており、避難していたとの話も残されている。

再生と分離

モントールという単一の都市は、いくつかの党派に分かれていった。この分裂は、都市が破壊されるより以前に既に生じていた。都市は破壊されてしまったが、その場に留まった人々もいた。彼らは山を下り、テントやワゴンを設置してキャンプを続け、噴火が収まるのを待って街に戻ったのである。

西方に向けて道が延び、山は分かれていた。途中には砦が築かれていて、越えてくるものを防いでいた。世界の北西部は巨大な森でジャングル化しており、南部へと広がっていた。この地域の中心部には "Terort Skitas" - "知の聖堂" がある。我々が手にしているイルシェナーに関する情報は、殆どがこの神殿で発見された古文書である。この神殿は都市が破壊されるよりも昔に建設されたものであり、破壊される前のモントールに似ている。そして、モントールから逃げ延びた人々のうち、ここを訪れた人々もいた。彼らは自分たちを "アンスキタス(Anskitas)" と称した。それは大まかに、"覚醒された知識"として翻訳されている。そこは学問と熟考の場所となっていた。殆ど空の本棚にある記述から判断するに、ここは恐らく我々のライキュームに匹敵するものであったのだろう。

西方へと移り住んだアンスキタス民は全体の一部にすぎなかった。残りの人々は学問と黙想に身を置くことを好んではいなかったのだ。ある古文書に拠れば、彼らは『…禁欲的で力強く、あらゆる物事の均衡を追い求めている』と表現されている。彼らは南へと向かった。南方で、彼らはあまり友好的ではないリザードマンの種族を発見した。南西部は、沼地化したジャングルが広がっていた。最南端には、彼らを常に悩ませることとなったリザードマンの巣窟となっていた。これは恐らく彼らが街を形成していたということを意味しているのだろう。トリンシックに匹敵するような砦のように、壁に囲まれた都市があったのだ。彼らはそれをミスタス(Mistas)と呼んだ。街の西には二つの塔があり、地下に広がる巨大砦の入り口となっていた。我々の得ている全ての情報に拠れば、彼らは非常に高貴な人々であったということが示されている。

モントールを離れたまた別の一団は南方へ向かっていた。ここで発見されたものについて、我々にはまだ解明できていない部分が残されている。世界の南東に位置する場所に、水上に設けられた都市がある。これに関しては未だに謎に包まれた部分が多い。彼らは全く第二言語を用いなかったのだ。彼らはその都市を "レイクシャー(Lakeshire)" と呼んだ。その一方で、アンスキタスの人々はその地を "マイレグ(Mireg)"と表現している。これは翻訳すると "水上の家(Water-Home)" となる。また、ミスタスの人々は、そこを "不幸の地(lacking will)" と呼んだ。全体として、非常に混乱を招いているのだ。我々がもっと沢山の情報を集められれば、解明されることになるだろう。

この地域の周辺のいたるところで、見慣れない魔法が研究されていたようだ。湖の中心には城が確認されている。まだ誰も調査として訪れたことはないのだが、知の聖堂で発見された文献にその地への通路があると記されている。
『Est ven lem was mani』

翻訳: 『高寿を求める者』
これは一体何を意味しているのだろうか。

レイクシャーの北側には、また一風変わったも地域を見ることができる。巨大な木の中に作られた村で、ピクシー(Pixies)と呼ばれるものが生息している。そんなばかげた話を信じるのは容易いことではない。南にはさらなるミステリーが広がっている。そこには恐らく境界線を示していると思われる石塚が見つけられることだろう。あるパーティーの報告によれば、森の中で風変わりな造形物を見たということだった。街の西には、廃墟と化した鍛冶場があり、そこはまるですぐそばの洞窟から掘り出された鉱石を加工していたかのようである。今ではすっかり害獣に占拠されてしまっている。この地域に関する最後の点は、山のすぐ横に築かれている大きな要塞だ。中に入るほどの勇気を持ったものは未だいないようだが、外側には骨や頭蓋骨までもが堆く積み上げられている。この場所に関して、アンスキタスのとある本に記述がある。
『korp ku-nte reg de por-ilem-mani-lemi』

翻訳: 『生命を蝕むその住処での死』
この地を最初に訪れる者は誰なのだろうか。








5:39 2017/04/28

by horibaka | 2017-04-09 05:36 | その他 | Comments(0)
BNNアーカイブ イルシェナー伝:パート I

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イルシェナー伝:パート I

投稿日:2001年3月20日

ジャーノ・ミリク
全シャード



モンデイン(Mondain)は1000年に渡って不死の珠玉(Gem of Immortality)を支配し、ソーサリア(Sosaria)を思いのままに操ってきた。この支配は、遙か彼方よりやってきた見知らぬ男によってモンデインが打ち倒され、不死の珠玉が粉々にうち砕かれたことで幕を閉じた。これはこの世界に住む我々にとっては暗黒期が終結した最初の時代であったのだが、イルシェナー(Ilshenar)では事は終わっていなかった...。その話を進める前に、まずは我々が知る限りのシャード(shard)とファセット(facet)について話しておかねばならないだろう。

不死の珠玉が粉々にうち砕かれたとき、それぞれの破片(=シャード)が誕生し、その一つ一つにソーサリアが存在することとなった。我々の知る限り、それぞれのシャードには固有の歴史があり、異なる人々が生活している。近年では、それぞれのシャードの中に、独自の歴史と人々を持つ別の面(=ファセット)が発見されている。この無限の可能性、無限に続くものは多くの人々を混乱させることだろう。今自分たちがいる層の下にもさらに別の層があるのだろうか? その層のさらに下の層に行くことができるのか?……この話は哲学者たちに任せるとしよう。

現在我々が知っている世界には、旧来からあるファセットのフェルッカと、新しいファセットのトランメルが存在する。ここで1つ考えておかねばならないことは、ミナックス(Minax)もまた、別のファセットから到来したということだ。奴が元来住処としていた世界のことは殆ど知られていないが、ここで少し脇道に逸れるとしよう。トランメルは、ロード・ブリティッシュ(Lord British)とニスタル(Nystul)がそのための魔法を使うまでは存在しなかったはずである。この魔法がどのように作用したかというのは、私の貧弱な知識を遙かに凌駕しているが、ロード・ブリティッシュとニスタルの徳の力が作用している事は間違いないだろう。

では、イルシェナー(Ilshenar)とは最近発見された新しいファセットなのだろうか? この地を最初に訪れた勇気ある人物が、地図といくつかの文献を携えて帰還している。連日してさらなる情報が我々の元に寄せられ、この神秘なる新たな土地の謎は徐々に解かれようとしている。私は寄せ集めた文書類を纏め、イルシェナーの歴史を追いかけようとした。そう、モンデインの支配が終わってから、つい近年までの間に何が起こったのか。イルシェナーの民は、一度に二つの言語を話すことがたびたびあるため、この作業は困難を極めた。学者に拠れば、第一言語は我々がよく知り、使用している言語と共通しているもので、第二言語はまったく異なるものだという。第二言語の中には、我々が魔法を詠唱するときに用いる力の言葉(words of power)に酷似したものが多く含まれている。簡単な例を、ウィスプ(Wisp)の文献の中で見つけることができた。彼らの言語では、Wispの表現に用いられる言葉は "Orlor"。これは我々の世界の "Ort Lor"にもよく似ていて、 "魔法の光"(Magic Light)と翻訳することができる。実際、魔法や神秘的学問で用いられる言語の大部分は、それぞれ微妙に異なる方言で用いられることが多い。力の言葉の起源に関する議論は、これまでにも長い間行われてきているが、イルシェナーにはその答えを導く何かが見つかるのかも知れない。もしかすると、イルシェナーの人々は我々よりも多くの魔法を知っているのかもしれない。そう考えるようになったが、ここで話を戻して、先に進めるとしよう。

粉砕

モンデインの支配期に立ち戻ってみるとしよう。彼は、その見知らぬ男によって最期の時を迎えるまでは、誰の手も及ぶことのないソーサリアの支配者だった。この話は小さな子供たちでさえ知っているもので、且つこの時代から、つい最近の混乱期を越え、発見と学識、そして平和の現在に至るまでがよく知られている。しかし、イルシェナーは我々のこの幸せな運命を共有することはなかった。モンデインが打ち倒された日は「粉砕(Shattering)」として知られている。『~それは死と災害により汚された日なのだ。その日、全てが正しい方向に進まず、全てが破滅していた。世界の全てが変わってしまった。』これはイルシェナーで発見された文献 "残されしもの"(All That Remains) の中の一節である。この時点では、私はまだこの話が事実であるのか、それとも創作されたものであるのかは自信が持てない。しかし、次の箇所から何が起こったのかが非常によくわかる。私がまだ発見していない何かが伝わってくるようである。
『世界は堕ちた。そこに至る断絶と破壊は復元されたが、それは異質な世界。一歩たりとも歩んではいないが、それはかつて私が存在した場所とは異なっている。世界は運命に飲み込まれ、再び吐き出されたとき…混迷と破壊と変化が起きた。私たちは自らの大地を彷徨うこととなった。』
これはつまり、彼らの世界は我々の世界とは全く異なるものに様相を変えてしまったということを意味しているようだ。今なお生き延びている人々は恐怖に戦いているということが想像できよう。この最初の日以来、物語は次々と展開していった。私はこの歩みを、最初の冒険隊が持ち帰った古文書の中に見つけだすことができた。
『全てはっきりした。"Anorlor" がこの堕落した世界を清め、モンデインは打ち倒された。"Mistas" は復元された。』
前述したように、"Orlor" はウィスプを示す言葉だ。この点から、"Anorlor" はダーク・ウィスプ(Dark Wisps)を指すものではないかと推測される。しばしば登場する "Mistas" は、調和を示す単語であると思われる。恐らくこの文書の筆者は、ダークウィスプが原因だとしているのだろう。ひょっとすると、彼らはアルマゲドン(Armageddon)の魔法を詠唱したのかもしれない。ちょうど遙か彼方にゾグ(Zog)がそうしたように。この考えは、最後まで私の頭から離れることはなかった。ここでフォロワーズ・オブ・アルマゲドン(Followers of the Armageddon = FoA)と、彼らのオブシディアン・ウィスプ(Obsidian Wisps)に頭を戻してみるとしよう。


その他の著書:
『全ては無のために。モンデインは"Anilem"なり』

この著書では "Anilem" とは何であったかということについて説明されている。最も有力な解釈では、これは "破壊した者" を示すとされている。この筆者が世界の破滅の原因はモンデインであると考えたのであれば理に適っているだろう。彼がねじ曲がった人物だったとすれば。

最後の引用は世界の北西部での大きな神殿で発見された本からのものである。この神殿は "Terort Skitas" として知られている。直訳すれば、"知の聖堂"(Temple of Knowledge)である。次の一行は、我々の歴史と非常に近いものを示しているように訳すことができる。

『Avenlem est Anilem. Mondain est korp-kat. Sosaria est bal-kans』

翻訳: 『失われし者は破壊者。モンデインは死を迎え、ソーサリアは焼き尽くされる。』

これを解読するのは容易なことではない。"失われし者" は、文字通りには "発見できない者" となり、この筆者が、見知らぬ男がモンデインを打ち倒し、世界を破壊することになったという伝承を意図しているのではないかと推測できる。解釈次第になるところではあるが。


全ての説から、イルシェナーはモンデイン陥落前後で想像を絶するほどに変化してしまったと言うことができる。








5:52 2017/04/27

by horibaka | 2017-04-08 05:50 | その他 | Comments(0)
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ギルフォーン

投稿日:2001年3月19日

JP Reporter
全シャード

ギルフォーンは、ゲートトラベルとテレポート呪文の研究にかけての第一人者として世間に名を知られていた。これまでにも「最後のゲート」や「ゲートトラベルとモダン社会」などの著書を発表しているだけでなく、ムーングロウの街に設置されているタウンテレポーターやジェロームの地域テレポーターの仕組みを解明したことでも知られている。また、ギルフォーンはこれらの仕組み利用して、ムーングロウの秘薬屋で見られるような小型テレポーターの設置も実際に行い、買い物客でごった返す店の整理にも一役買っている。恐らく、誰でもが一度はギルフォーンの設置したテレポーターの恩恵にあずかっているだろう。

このような業績とはうらはらに、ファセットと付随するファセットゲートの発見への想いは、彼を完全に魅了していた。一歩踏み出したその先が別世界になることを考えれば、ゲートを開き秘薬屋へ飛ぶことさえ、彼にとっては至って単純にも思えたのだ。過去の歴史を振り返っても、別世界へのゲートが具現化したとされているのは、モンデインを討伐するために謎の人物をこのソーサリアへ運んだとされる伝説のSiege Perilousゲートだけだった。ギルフォーンは、ゲート生成に関する古文書の公開をニスタル(Nystul)へ何度も嘆願していた。ニスタルは、最終的にギルフォーンを個人的に訪ねて、ゲート生成の記録は一切見つかっていないことを直接説明しなければならなかった。ただし、ギルフォーンはこのことを一切信じず、Nystulは真実を述べていないと公に声明を出してしまったのだ。しかし、その気持ちを理解できる者も多くいるだろう。ファセットゲートは実際のところスキルも必要とせずに、たった一つのムーンストーンで実現できてしまうのだから。地面に置かれたムーンストーンは、やがて地中に埋もれ、相対する別世界へとファセットゲートを開く。ムーンストーンは、かつてミナックス(Minax)がブリタニアへ降り立ったときから人々の目に触れるようになったが、恐らくはミナックスが自らのファセットから我々のファセットへ入り込んだことで、何らかの作用が働いて生み出されるようになったものなのだろう。そして、臭気の強いヘッドレス(headless)と呼ばれるモンスターは好んで、あるいは何かの勲章であるかのようにムーンストーンを集める習性があるようだ。

ギルフォーンは一般的なムーンゲートの生成方法に関する古文書の研究を進めていた。「それは固定的なもの:到着地はソーサリアを周期する二つの月の位相に依存する。」しかし、ムーンゲートに関する魔法とムーンストーンのすべての組み合わせを試しても、開いたゲートの爆発により怪我を負ってまでも、未だに固定ゲートを完成するには至っていなかった。

その夜もまた、ギルフォーンは夜更けまで古文書の研究を行っていたが、やがて本を閉じると身体を休めようとベッドに横たわった。即座に睡魔に襲われた彼は眠りに落ちて夢を見ていた...。

そこはムーングロウの市民センターだった。澄んだ夜の爽やかな風がギルフォーンの頬を撫で、星は満月の双子月に照らされるかのように瞬いていた。ウィスプ(Wisp)が姿を現すと、ギルフォーンを招いているように見える。彼はそれに従い、街の南門を出てムーンゲートの方角へ輝くウィスプの後を追った。突然、ウィスプは姿を消してしまった。ゲートを見ると、これまで目にしたことのない、いつもとは異なる輝きを放っている。そのときだった。情景に相応しいとも言える、自然に幾重にも重なった声々が闇から彼を包んだ。

『これまでよく頑張ってきた...その努力は決して無駄にはならぬだろう...さあ、ゲートを見るのだ。』

風が強まり、ギルフォーンは渦を巻くようなゲートを凝視した。

『おまえは誰だ?何故私の夢に入り込んできたんだ?』

『我等は賢者、そして助けを求めている...。』

『目にしたことない...おまえの望み...我等が叶えてやろう...。』

その言葉にギルフォーンの凝視が崩れた。『ただほど怖いものはない。その知識と引換えに何を失わなければならんのだ?魂か?』

『代償など必要ない...一切だ...。そのゲートから学ぶがよい...。』

彼は再び目の前にある不思議なゲートに視線を戻した。そこには馴染みのある不規則な文字の組み合わせがねじれ、そして揺らぎながら浮かんでいる。

『単純かつ明解...そして、摩訶不思議...。』

『さあ、ゲートをくぐるのだ...。』

ギルフォーンは足を踏み出すとゲートに入っていった。

彼は興奮と共に目を覚ました。身体は震え、汗にまみれながら、自分自身を取り戻すのにたっぷりと時間が掛かった。夜の空はまだ暗く澄んでいた。夢...ウィスプ...ゲート...そうゲートだ!ギルフォーンはベッドから飛び起きると研究室へ急いだ。

彼の思考は光り輝く文字と神秘の呪文に集中していた。あわただしく研究室の秘薬をかき集めると、頭の中は多少なりとも狂気じみた思考に取って代わっていた。秘薬の準備を整えたギルフォーンは、これまで聞いたこともない詩的とも呼べる呪文節の詠唱を始めた。

『init kal vas gres』
『trak sek-de ter-mer..』
『re in ew tu-tim in-ten』
『re grav beh』
『i trak-por』

最初は何も起こらないと思えた。次の瞬間、秘薬は爆発エネルギーの光となって研究室を強烈に明るく照らし、床に秘薬と共に置いたムーンストーンがゆっくりと地中へ埋もれて行った。明るい光に視力を半分奪われたギルフォーンのその目に、床から姿を現した渦を巻くゲートが飛び込んできた。それはまさに夢の中に出てきたゲートと同様のものだ。もちろん、ギルフォーンは砂時計をひっくり返すことを忘れなかった。

彼はゆっくりとゲートを眺めた。その向こうにあるものは見えない...。彼はじっと時を待ったが、砂時計のガラス容器の中で、砂は驚くほど遅いペースで時を刻んでいた。いつものゲートが閉じる時間となったとき、彼は当惑した。それは閉じなかったのだ!ギルフォーンは、時間の経つのがこれほど遅く感じたことはなかったが、ゲートは一時間を過ぎても消えることはなかった。どうやら固定ゲートの生成方法を遂に手に入れたようである。もちろんまだ大切な試験が残されている。この中へ足を踏み入れても大丈夫だろうか?向こうにあるものはまったく見えない...。その不思議なゲートを前に、彼はさらに時が過ぎるのを待ち、そして夜が明けようとしていた。ギルフォーンはこのまま朝を待ち、評議会へ固定ゲート生成の発見を伝えるべきかを悩んだ。しかし、ゲートの向こうにある世界を見てみたい、そしてゲートが完全に機能するのかどうかを確かめたい、彼はその衝動に勝つことができなかった。そしてゲートに一歩、足を踏み入れた。

衝撃的な感覚はなかった。これまで何度も通ってきた一般のゲートをくぐった時と同様の感覚で、何の苦労もなく彼は別世界に立っていた。しかし...何かが大きく異なっている...。そう、それはフェルッカではなかったのだ。

ギルフォーンは朽ち果てた石の建造物そばに立っていた。最初はそれに気付かなかったが、やがて明確に意識に入り込んできた。アンクだ!目の前にあるのは、紛れもない荒石を積み重ねたアンクだった。そして石の残骸に半分埋もれているのは、信じがたいことに確かに徳の印章だ。天秤のマーク:正義の印章。これが正義の神殿なのだろうか?もちろん、彼の知っている正義の神殿とは似ても似つかない。驚くべきその光景に、ギルフォーンは興奮を覚えた。意識をゲートへ戻すと、それが消えてしまうのではないかという気持ちに襲われた。魔道士評議会へ一刻も早くこの事実を伝えなければならない。この世界を詳しく調べたいという後悔を残しながら、ギルフォーンはゲートを使って研究室へ戻った。ゲートはまだそのままだ。夜明けの近い空の下、彼はこの大発見を伝えるべく、アノン(Anon)のもとへと急いだ。

虚空間の最も暗い次元で、三つの影が不気味な笑いを浮かべていた。

それは始まったのだ...。









5:47 2017/04/26

by horibaka | 2017-04-07 05:45 | 海外・TC日記 | Comments(0)
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戦火に残された希望 - III

投稿日:2001年2月11日

JP Reporter
全日本シャード

『デュプレ、俺は心配でたまらない。ニスタルは俺達の知る限り最も強力な魔道士のはず。レブロはその彼を指先1本で跪かせる力を秘めているんだぞ』

『ああ、その通りだジョフリー。だがどうしてそいつは俺達の前から逃げたりしたんだ?』

『さっきも言ったろう。おまえさんの口臭に違いないってな』ジョフリーは笑顔を見せた。

『そうだったのかもな』デュプレはクスクスと笑い出した。『さあ、本を取りにいくぞ』

『ああ、そうしよう』ジョフリーはうなずき、そして2人は旅立っていった。







デュプレがニスタルの部屋の扉を叩いた。しばらくすると、まだやつれを隠せないニスタルが姿を現して彼とジョフリーを部屋に招きいれた。

『本は持ち帰れたのか?』ニスタルは自分の机に向かって足を進めながら訊ねた。

デュプレは悪戯そうな笑顔でバッグから2冊の本を取り出すと、疲れ果てた魔道士の前にそれらを置いた。

『途中、何事もなかったのか?』ニスタルが問い詰めた。

ジョフリーが話に割って入った。『些細なことです。適当にこなしておきましたよ』

ニスタルは怪訝な顔で訊ねた。『どのくらい殺したのじゃ・・・』

デュプレが答えた。『ただの1人も殺していません』

『ただ…衛兵には2名ほど休んでもらいましたがね。意識を取り戻せば元通りになるはず』ジョフリーが笑った。

ニスタルは安堵のため息をついた。『派閥抗争は血生臭いものじゃが、使命を忘れることなくよく頑張ってくれたな。誰の命をも奪うことは避けたいが、時としてそれは贅沢な望みとなることもある。何事もなくこれらの本を持ち帰ってくれたことに礼を言うぞ。後はわしに任せてくれ』

『ニスタル殿、お身体の方はもう大丈夫なのですか?』デュプレが眉をひそめて訊ねた。

『ああ、ありがとう。悪魔との遭遇で確かに疲れてはいるがな』ニスタルは渋い顔をした。
『さあ、おまえたちはいつもの仕事に戻ってくれ。デュプレ、おまえはタイボール(Tyball)を探し出すための手がかりを見つけたのだろう?2人とも出て行くのじゃ』ニスタルは優しく言った。

デュプレがジョフリーに視線を投げると、ジョフリーはうなずき、2人はニスタルの部屋を後にした。







ジョフリーとデュプレは城の中庭を歩き始めたがすぐに立ち止まってしまった。

『デュプレ、どうもニスタルが心配なんだが…』ジョフリーが言った。

『ああ、私も同じだ。あれほど怯えるニスタルをかつて見たことがない。新たな鐘を作り出すことで少しでも自信を取り戻してくれることを祈ろう』デュプレが応えた。

『まったくだ。神殿を清めることでフェルッカでの命に活力をみなぎらせ、あの魔女を倒すきっかけになって欲しいものだ』

デュプレは振り返ると再び歩き出した。『あの魔女が鐘の在り処を知り得、そしてそれを破壊することができたということを、私は事実として受け入れるしかないようだ』

『鐘、蝋燭、そして古書に魔法が宿っていたとしても、それらがまた同時に物質的な存在であることも事実だ。そうであるなばら破壊という行為には屈することができない可能性は十分にあるんじゃないか?』

『恐らくな。では、私はこれで帰ることにする』デュプレはそう言い残すと城門に向かって歩き始めた。

『じゃあな』ジョフリーはそう言うと城の中へと消えて行こうとした。

『ジョフリー』デュプレが呼び止めた。『おやっさんを頼んだぞ』

『ああ、そうだな。そうするよ』







翌日、デュプレとジョフリーはニスタルの部屋にいた。疲労の残っているだろうと予測されたニスタルはそれ反して今日は自信に満ちているように見えた。彼は探していた知識を手にいれたようだ。

『勇気の鐘を製造するための材料リストを書き出しておいた。わしが最も恐れているのは、このうち一部の材料についてじゃ』ニスタルは腰掛けると巻物を机の反対側のデュプレに示して見せた。

デュプレとジョフリーの2人は巻物をじっくりと読んだ。

『ニスタル殿?これはあまりにもレアと呼べるものばかりのようですが…』デュプレは困惑した。

『そうかも知れん』ニスタルはにやけて見せた。『おまえたちならば、きっとこのすべてを、しかも短時間に見つけてきてくれるじゃろうと信じているぞ』

2人は互いに顔を見合わせると低く唸った。

『おまえたちは世界で最も尊敬されている人物のはずじゃ。きっと幾人もの優れた男女が材料を探す支援を申し出てくれるじゃろう。1つ注意しておかなければならんのは、敵対する他の派閥の者達は、巧みにおまえ達の行く手を阻み、そしてこの使命を阻止しよう狙うことじゃ。その1つ、魔道士評議会のアノンは我々がすでに真実の本、そしてフェルッカからおまえ達が借りてきてくれた2冊の本の存在に激怒するじゃろう。ミナックスの連中は鐘を破壊したらかには、おまえたちがこれらの材料を見つけ出すことを全身全霊を掛けて防ぐはずじゃ。そして最後に』ニスタルはそこで言葉を止めた。
『最後にレブロとシャドーロードの崇拝者達…奴らの恐ろしさには底知れぬものがあるじゃろう…。どうか充分に気を付けて行動して欲しい』

『ニスタル、あのときはふいで準備が整っていなかっただけのこと。決してあなたの力が及ばないなどとお考えにならないでください』ジョフリーが返した。

『まったくです』デュプレは続けた。『ニスタル、あなた以外に自分の背後を守ってもらいたい魔道士などこの世界には存在しません』

『優しい言葉に感謝しよう。しかし、わしは憶測はせんたちでな』ニスタルは静かに言った。
『さあ、2人とも出かけるのじゃ。どうか迅速にこれらの材料を集めてきて欲しい。長い間に渡って崩壊寸前の神殿を早々に清めなければならん。必要なすべての材料が揃った時点で役目を果たすべくシャミノ(Shamino)もすでにこちらへ向かっているはずじゃ。蝋燭と古書はすでに我らの手中にある。しかし鐘はどうしても作り直さねばならない。時間が経てば経つほど神殿を清めるには強大な力が必要となるじゃろう。さあ、一刻も早く行動を起こすのじゃ!』

ジョフリーとデュプレは同意のしるしにうなづくと、巻物をつかんで部屋を足早に出て行った。

ニスタルはゆっくりと椅子に身体を預けた。

『友よ、どうか安全に戻ってきてくれ…』








5:19 2017/04/25

by horibaka | 2017-04-06 05:17 | その他 | Comments(0)
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戦火に残された希望 - II

投稿日:2001年2月10日

JP Reporter
全シャード

強い風が吹き上げると、ニスタルがゲートから姿を現した。砂埃が収まり、フェルッカの傷つき変わり果てた大地を目にした老人の胸は空しさに包まれていた。彼はバッグの中をまさぐると一冊のルーンブックを取り出した。

ルーンにマークした地点からライキュームまではさほど遠くない。捜し求める知識の記された本はフェルッカから持ち出されることなく保管されているはずだ。本の保管場所については魔道士評議会(Council of Mages)でも意見が分かれ、論争が繰り広げられた経緯があったのだが、最終的には街の統治のために戦う派閥魔道士たちの意見を尊重して、フェルッカの地に保管されることとなった。

『Kal Ort...』ニスタルの集中力が途切れた。何者かの気配をその場所に感じとったのだ。

『久しぶりですな、ニスタル殿』背後から声が掛けられた。

ニスタルがゆっくりと振り向くと不思議な格好の人物が目に入った。その人物は珍しい灰色の鹿製のマスクをかぶり、奇妙な杖を手に携えていた。そして、ぼんやりと黒っぽいオーラに包みこまれた人影にニスタルは寒気を覚えた。朝の光はまだ暗く、ニスタルが鹿マスクの下にある顔を確認するには多少の時間が必要だった。

『きさま!』彼の感情は一気に高まり、声は罵りに変わった。

『ほぅ、覚えていてくれましたか』その男は答えた。

『魔道士との唯一の和平への道を閉ざした貴様を忘れるわけはなかろう』ニスタルは唸った。

『それは違いますな。あなた方の間に起きた亀裂を誤魔化すための嘘、あるいは見栄だったのではないですか?
私はただ真実を述べたに過ぎない。そう、あなたの嫌いな真実をね。どうです、ニスタル殿?』

『すべてを語るべきではない状況もある…』ニスタルは息を吐いた。
『アノンやその仲間達は確かにすべての真実を解き明かすための議論をして止まないが、世の中の知識にはその危険さから白日の下にさらす必要のないものもあるのじゃ』

『ほほう、あなただけはその真実を求めるに相応しいとでも?』その声は忍び笑いを含んでいた。

『相応しいかじゃと?』ニスタルは続けた。
『わしには判断はつかん。しかし、知識を手に入れる運命にわしがいた。分かるのはそのことだけじゃ。さぁ、立ち去ってくれ!わしには急がねばならない用事があるのじゃ』

男は笑い出した。『もし嫌だと言ったら?どうしますか、ニスタル殿』

『レブロ(Revlo)、わしはおまえを傷付けなくはない』ニスタルは歯軋りしながら答えた。『それとも近頃は別の名前を使っているのか?プロフェット(Prophet)あたりはどうじゃ?』

レブロは再び笑い出し語った。『私は選ばれし者、あなたが理解することもできないような強力なパワーに選ばれた者だ』

『おまえの魔力などわしが怖がると思うか?』ニスタルは応戦の構えでいた。

レブロは笑顔と共に姿を消した。次の瞬間には、ニスタルの背後から低い声が響いて肩に両手が乗せられた。

ニスタルは即座に振り向いたが、またもレブロに背後を取られてしまった。

ニスタルは立ちすくしていた。『これは一体…』

レブロは複数のコーラスのように響く声で語った。『我々はおまえ達の想像を絶する存在…。おまえ達の夢の背後に忍び寄る黒い影、そして最上級の恐怖。我らは畏怖そのものである』

ニスタルの肩に掛けられたレブロの手の冷たさが移動し始めた。指の一本一本から冷たさがニスタルの心臓へ向かって進むと、凍りつくように身体が震え出すのを感じた。かつて老人はこれほどの恐怖を味わったことはなかった。

『ニスタル、これで我々の恐ろしさが分かっただろう』声がこだました。

身体全体に冷気が回るとニスタルは膝から崩れて落ちていった。そして、朝焼けの風景がしだいに老人の視界から薄れていった…。







ニスタルは自分の寝室で目を覚ました。起き上がると全身が硬直しているかのようだった。

『友よ、休んでいてください』デュプレが微笑んだ。

『何が起きたのじゃ…どうやってわしはここへ?』ニスタルはめまいと格闘しながら訊ねた。

『私達が見つけました。ちょうどよいタイミングだったようで』ジョフリーは暖かいエールを差し出した。

『その通り、あなたが恐ろしい痛みに苦しんでいる悪夢を見たんです。その後すぐに様子を見に伺ったのですが、すでにあなたは旅立たれていた。急いで森へ駆け込んでみると、ちょうどあなたの出した面移動のゲートが消えるところでした。ジョフリーはムーンストーンを調達するために街へ戻り、私達はすぐに追いかけたのです。フェルッカに到着すると、あなたは膝立ちのまま苦痛に顔をゆがめていて、その上にWraithが覆い被さっていた。ジョフリーがとっさに攻撃を開始して決着したと言うわけです』デュプレがいきさつを説明した。

『魔法なんかには頼る必要はなかった。単純にやつを地面に叩きつけると、デュプレが押さえつけてくれたしな。どういうわけだか、妙に嫌な気分がしたんだけど、二度とあの断末魔は聞きたくはないよ。』ジョフリーが言った。

デュプレは思案げな顔つきになり次のように語った。『そうなんです。自分でもよくわからなかったんですが、どうもあのWraithに大きな嫌悪感を覚えました』

ジョフリーは笑い出した。『きっとおまえさんの口臭だったんじゃないか?』

デュプレは苦笑いするとニスタルに視線を向けた。

『ニスタル、何を考えているんですか?』デュプレが訊ねた。

『何かではなく、誰かを考えていたところじゃ』ニスタルはそう言うとエールを口に含んだ。

『あれが誰か人物だったと言うのですか?』ジョフリーは混乱した面持ちで聞いた。

『ああ、あれはレブロじゃ。毎日のように勢力を拡大しつつあるシャドーロード(Shadowlords)のカルト集団を創設した者じゃ。』ニスタルはため息をついた。
『やつらの存在は虚空の幻影に過ぎないと思っていたんじゃが、それも今では信じられなくなってしまった。やつはわしが瞬きをするよりも早く風のように移動することができる。やつの声は増幅して、指先でふれるだけでわしの身体を麻痺させることもできた。恐らく、その力は我々が見たこともない悪魔的な存在に直結しているのかも知れん』

『ところで、なぜ1人で旅に出たのですか?』ジョフリーが訊ねた。

『ライキュームに眠る2冊の本を単に持ち帰る…、ほんの遠足程度の気持ちでいたのじゃが…』ニスタルはゆっくりと椅子に深々ともたれかかった。

『それならば本の題名を教えてくだされば私達が持ち帰ってきましょう。いずれにしても、あなたには休息が必要です』デュプレが優しく語った。

『ああ、そうさせてもらうよ』ニスタルは巻物に何かを書き込んだ。『この2冊の本をわしに届けてくれ。きっと新しい鐘を造るための手がかりを見つけることができるはずじゃ』

ニスタルは眠りに落ちてしまった








18:21 2017/04/23

by horibaka | 2017-04-05 18:20 | その他 | Comments(0)
BNNアーカイブ 戦火に残された希望 - I

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戦火に残された希望 - I

投稿日:2001年2月9日

JP Reporter
全日本シャード

ニスタル(Nystul)は研究室の椅子に腰掛け、永遠とも思える時を経たかのような古い革表紙に飾られた大きな本に顔をうずめていた。老魔道士は静かに息を吸い込みながら顔を上げると、傷を付けまいとゆっくりと古書を閉じた。古書にはかつて強力な神秘の力が秘められていたのだろうか、やんわりと青白い光を放っている。
ある者はそれを信じてやまない。『真実の本』…ほとんど人の目に触れたことのないその古書がニスタルのもとへ届けられたのは今日の昼前のことだった。ライキューム研究所(Lycaeum)のどこかに納められていると言われながらも、具体的には誰もその正確な場所を探す術を知らずに今日まで保管されてきたのだ。

ニスタルはライキュームに入ってきたマリア(Mariah)が教壇から何かを手に取り、また部屋を出ていく様子を見つけると、アノン(Anon)に向かって微笑を投げた。アノンは険しい表情をあらわにしたが、ニスタルは気にとめる風もなくなおも微笑み続けていた。彼の怒りは、ニスタルが計画のすべてをすでに実行してしまったことに違いないのだが、何にも増して自分がその計画に参加できなかったことに他ならなかった。しかし、古い友人でもあるアノンがそのことを理由にニスタルを憎むなどあり得ないことをニスタルは知っていた。

『いつの日か』彼は考えるように続けた。『すべては丸く収まるじゃろう…』

ニスタルは、元々想像や予測に頼るような人物ではなかったが、かつてそうだったように若さによる理論を振りかざす若さを保ってはいなかった。若い頃には偉大なる魔道士として名を馳せたものの、今ではその呪文の一つ一つが彼の命の活力を奪っているかのように思えた。彼は苛立ちから足を踏み鳴らしていた。年老いた魔道士の人生最大の目的を成し遂げるには、どうしてもあと1つだけ必要なものがある。パズルの最後のかけら。それはデュプレ(Lord Dupre)とジョフリー(Lord Geoffrey)の両卿の手に握られているはずだ。

ニスタルは燭台の置かれている部屋の反対側に視線を向けた。クリスタルで作られたランタンのような「愛の蝋燭(Candle of Love)」は、FoA(Followers of Armageddon)による問題が起きるまでエンパス修道院(Empath Abbey)に密かに安置されていたが、今では何事も起きる気配もなく黄色がかった柔らかな輝きを落とし続けている。

『ジュリア(Julia)…』ニスタルは呟くとため息を漏らした。
『いつの日か』そして続けた。『おまえの意思を引き継ぐものが出てくるじゃろう。だが、決しておまえの名が人々の記憶から忘れ去られることがあってはならん…』

ニスタルは燭台の隣に古書を置いた。すると蝋燭の明かりが革表紙の青い光と交わり、鮮明な緑色の輝きを見せた。

『正義…』ニスタルは呟くと優しく微笑んだ。

この2つの物はソーサリア三大原理のうちの2つを具現化したもの、そして3つ目こそが彼の友人達がサーペンツホールド(Serpents Hold)から持ち帰えるはずの「勇気の鐘(Bell of Courage)」だ。その旅には両卿が必要だった。唯一、鐘の正確な場所を知るデュプレ卿、そしてジョフリー卿だけが台座から取り外すことができる。ニスタルは先に彼らと相談した計画を再び回想していた。

『それが重要じゃ…』老魔道士は自分に言って聞かせていた。

そのときだった。デュプレが険しい面持ちで戸口に姿を現した。

『デュプレ!鐘は持ち帰ったか?』ニスタルは願うように訊ねた。

『だめだ』デュプレが吐き捨てるように言い放った。

『それと持ち帰ったという栄誉もな』ジョフリーはそう言いながらデュプレの脇をすり抜けると、薄暗い明かりの灯る小さな部屋に入ってきた。

『だめじゃと?何が起きたんじゃ?』ニスタルは困惑した顔で質問を投げた。

『粉々さ』デュプレは息を吐くと剣の鞘を強く床に叩きつけた。

『粉々?一体なぜに…、場所を知るものは誰もいなかったはずじゃぞ!』

『台座の置かれた床の上にこれが残されていたんだ』ジョフリーは束ねたカラスの黒い羽を勢いよく放り投げた。

『魔女か!』ニスタルは激怒した。『ミナックス(Minax)が何故鐘の隠し場所を知っていたのじゃろうか』

『そうであるなら、私にもそれは分かっていたはずだが…』デュプレは、ため息をつくと小さな椅子に腰掛けた。

ニスタルは一瞬凍りついたかのように固まっていたが、生きている証拠に再び瞬きを始めた。

『デュプレ、それについてはまた後で考えるとしよう。今は新しい鐘を造り出す方法を見つけることが先決じゃ』ニスタルは彼の書棚に近づいていった。

『新しい鐘を造るだって?』疑問にはジョフリーが最初に反応した。

『ああ、そうじゃ。元からあったものも何らかの方法で鍛造されたはず。何も希薄な空気から沸いて出たわけではないはずじゃ』ニスタルは中空に両手を掲げながら伝えた。
『これら3つの物はすべて、徳自身の持つ神秘の力を使うことで誰かの手によって造られたことは間違いない。そう、今では時代遅れともとられがちな三原則、真実、愛、そして勇気を使ってな…』

デュプレは顔を上げた。『我々は何をすればいいんですか?』

ニスタルは微笑んだ。『まずは休息を取るんじゃ。おまえたちの顔はどう見ても何日も寝ていないように見えるぞ』言い終わるとニスタルは戸口に向かって指を差し出した。

2人はうなずくと部屋を去っていった。

ニスタルは椅子に崩れるように座り込むと深々とため息をついた。

『卑劣な魔女め…』彼は噛むように低い声でつぶやいた。

デュプレとジョフリーが部屋を去ったことでニスタルの緊張はやや薄らいだようだ。朝には一番で旅に出なければならないことは分かっているのだが、時が過ぎるのが妙にゆっくりと感じられた。老人は立ち上がると古書を書棚の元の位置へ戻して寝室へと向かった。
「明日は面白くない一日となるじゃろう…フェルッカ(Felucca)のムーングロウ(Moonglow)を訪れるということは何かのトラブルが起きることしか考えつかん…」思惑は堂々巡りになっていた。







ニスタルは夜明けと共に目を覚ますと、秘薬を充分に袋に詰めてベルトに縛り付けて呪文書を片手に握り締めた。彼は階段を足早に降り、城の広大な中庭に出ると、人気のない朝焼けの中、ガード圏外まではわずか数分の事だった。圏外の森の中に入ると、ニスタルはムーンストーンを足元に置き、それが大地に吸い込まれていくのを見守った。次の瞬間、面移動のゲートが開き、ニスタルは駆け込んで安全なトランメル(Trammel)を後にした。

ニスタルの寝室へ辿り付いたデュプレは拳で強く扉を叩いた。

『ニスタル!』彼は大声を上げた。

デュプレは返事がないことを確かめると踵を返して廊下を駆け出した。衛兵に目を留めると詰め寄った。

『ニスタルを今朝見かけなかったか?』

『はい、デュプレ様。ニスタル様はつい数分前に城を後にされました。』

デュプレは懸念そうな顔つきになりさらに訊ねた。『行き先について何か言っていなかっただろうか?』

『いいえ、私は声をお掛けしませんでしたので、単に出て行かれるニスタル様を見かけただけです。そして、ちょうどこの城壁から見える遠くの方で、ニスタル様が森の中へ墓場の方面へ向かわれるのを目にしました。』

『恩に着るよ』デュプレはジョフリーが待ち構えている中庭へ向かって、階段を稲妻のように駆け降りていった。

『まだ起きてなかったのか?』ジョフリーは驚いた風も見せずに訊ねた。

『いや、それが…』

ジョフリーは納得させようとデュプレの肩に手を乗せて言った。『デュプレ、おまえの見た夢はつまり、ただの夢ということさ』

『ああ、そうならいんだが…。しかし、これは放っておくわけにはいかない。彼の身に危険が迫っているのは間違いない』デュプレは続けた。『せめてニスタルの後を追ってみようじゃないか』

ジョフリーはうなずくと、2人は旧友を求めて歩き始めた。








5:27 2017/04/21

by horibaka | 2017-04-04 05:26 | その他 | Comments(0)