BNNアーカイブ 陽動 |
ワールドニュース [戻る] 陽動 投稿日:2009年6月19日 三体の人影が、地下墓地に長年溜まったよどんだ空気に取って代わって暗闇から現れる。通常テレポーテーションの際に起こる大きな音と光を伴わず、彼らは突然入ってきた。――伝統とサークル、または呪文にとらわれないヒューマンやエルフの傲慢な魔術師とも違う。 まさに、彼らは肉体の存在を拒絶しているか、恐らくその存在を越えさえしていた。彼らのフードに隠れた顔では目の代わりに石炭が燃えている。無を支える不思議な風がクロークを揺らしていてもなお無で満たされており、無は彼らを形作っていた。 人の心の闇から生まれ具現化したため、彼らは人類に似た姿かたちをしていた。彼らは徳と対立する存在であり、ロードブリティッシュの遺産を貶めていた。 シャドーロード。 「探索は続いている」 その声は女性のもので、柔らかで魅惑的、そして繊細だった。どのような人間でも、このような魅あろう。彼女はノスフェンター(Nosfentor)、偽りのシャドーロード。 「絶対に見つけ出さなければならない」 二番目の声。今度は男性だ。彼女の短い発言に再び加わった。言葉は空気にまぎれて流れるように染み出し、廻り、お互いに絡まっていく。説得力があり、率直な言葉だ。彼はファウリネイ(Faulinei)、卑劣のシャドーロード。 「そうだ」 三番目、そして最後のメンバーが喋った。簡潔な返答は鉄のような地下墓地の深部を貫き、反響もせずに進み、そして消えた。彼はアスタロス(Astaroth)、憎悪のシャドーロード。 ノスフェンターは再び声を出し、体を動かす。彼女の下にテーブルの上に開かれた地図のようにソーサリアが現れた。 「我々は妨害された」彼女は首都ブリテインを示すと、まどろんでいる街に急に光が迫る。「ここで」 残りの二人が光の下にあるピンの刺し痕を見つめた。 「それでも我々の僕(しもべ)どもは働いた……実際に」ファウリネイは始めた。 「何をしたと?」アスタロスは他の二人に反論するために割り込んだ。 徳を象徴する八つの街は包囲され、住民は虐殺され、フェルッカとトランメルの魔法障壁は弱まった――トランメルは侵攻され失われたが、再び護られるようになった。 シャドーロードにとって、これはすでに予想されたことであった。彼らの力を封じ込めている最後のアーティファクトが発見されるまで、シャードーロードは暗黒の御業を本格的に始める準備ができていなかったのだ。彼らの捜索はすでに無駄になってしまった。それがどの街にも存在しなかったため、彼らは作戦を変更した。 「ブリタニアは、古きものも新しきものも、全て我々だけのものだ」ファウリネイは応えた。 「残りは?」 「とても多くの……複雑な問題がある」ノスフェンターが静かに答えた。言葉は不平を含んでいる。 「同意だ」他のものは応えた。 少しの間、彼らは下の世界を見つめた。 「彼らの注意をそらそうではないか。これは我々のスパイを仕事から解放することになり、この妨害を終わらせることにもなる」 「我々の手の内が早期に露呈しないように、何か小さなことでないとな」 「それならば我が」 今回ファウルネイが選んだ僕(しもべ)の意識に話しかけ、命令をした……手配を済ませておくように、と。 5:31 2017/10/11
|
by horibaka
| 2017-10-07 05:28
| その他
|
Trackback
|
Comments(0)
|
<< BNNアーカイブ 国王令 ~徳... | BNNアーカイブ 指示 >> |